あえて強調すると、レーシックの満足度や安全性は「症例経験の蓄積」と「リスクを隠さず説明する誠実さ」に大きく左右されます。
東京には数多くの眼科クリニックが乱立していますが、単なる「安さ」や「広告のイメージ」だけで選ぶと、術後に後悔するリスクも少なからず存在します。
この記事では、精神科専門医であり医療法人社団青雲会 北野台病院の理事長を務める尾内隆志医師監修のもと、医学的根拠と病院経営者の視点に基づいた「失敗しない選び方」を解説します。
さらに、東京で本当に信頼できるクリニックを厳選し、その特徴を忖度なしで比較しました。
- 病院理事長が教える「信頼できる医療機関」を見抜く5つのチェックポイント
- 東京のおすすめレーシック・ICL対応クリニックの機器・費用・保証内容徹底比較
- 「ハロー・グレア」や「戻り」など、カウンセリング前に知っておくべきリスクの真実
レーシック・ICLを受ける前に知るべき「適応」と「種類の違い」
このセクションでは、まずあなたが「そもそも視力回復手術を受けられる目なのか」という適応基準と、主要な術式の違いについて整理します。
多くの人が「レーシック」と一括りにしていますが、実際には角膜を削るレーシックと、眼内にレンズを入れるICL(眼内コンタクトレンズ)という、全く異なるアプローチが存在します。
ご自身のライフスタイルや目の状態に合わせて、最適な選択肢を知ることから始めましょう。
尾内隆志医師(北野台病院 理事長・精神科専門医)のアドバイス
尾内 医師どのような手術にも、必ず『メリット』と『デメリット』の両面が存在します。
流行や広告のキャッチコピーに流されるのではなく、ご自身のライフスタイルやリスク許容度に合わせて、医師と相談しながら決定プロセスを踏むことが重要です。
納得して手術を受けることこそが、術後の満足度(QOL)を大きく左右します。
そもそも、自分の目は手術できる? 「適応」の条件と断られるケース
レーシックは、希望すれば誰でも受けられるわけではありません。
日本眼科学会のガイドラインに基づき、厳格な適応基準が設けられています。
まず、年齢に関しては「18歳以上」であることが大前提となりますが、近視の進行が止まっていることが条件となるため、実際には20歳以上を推奨するクリニックが多くなっています。
最も重要なのが角膜の厚さです。
レーシックは角膜をレーザーで削って屈折力を調整する手術であるため、元々の角膜が薄い人や、強度近視で削る量が多くなる人は、十分な角膜強度を残せないため「不適応」となります。
また、円錐角膜という角膜の形状に異常がある病気を持っている場合も、手術を受けることはできません。
妊娠中や授乳中の方は、ホルモンバランスの影響で視力が不安定になりやすいため、手術時期をずらす必要があります。
さらに、重度のドライアイや、糖尿病などの全身疾患がある場合も慎重な判断が求められます。
ご自身が適応かどうかは、クリニックで行われる詳細な適応検査(サイプレジン検査などを含む)を受けなければ確定しません。
ネットの情報だけで自己判断せず、まずは専門の検査を受けることがスタートラインとなります。
レーシック vs ICL(眼内コンタクト)徹底比較


近年、レーシックと並んで人気が高まっているのがICL(眼内コンタクトレンズ)です。
両者の最大の違いは、「角膜を削るか、削らないか」という点にあります。
レーシックは角膜を削るため不可逆(元に戻せない)ですが、ICLはレンズを目の中に挿入する手術であるため、万が一不具合があった場合にはレンズを取り出して元の状態に戻すことが可能な可逆性の手術です。
それぞれの特徴を以下の表にまとめましたので、比較検討の参考にしてください。
▼ レーシック・ICL・スマイル手術のスペック比較表
| 項目 | レーシック (LASIK) | ICL (眼内コンタクトレンズ) | スマイル (SMILE) |
|---|---|---|---|
| 術式 | 角膜フラップ作成+レーザー照射 | レンズを目の中に挿入 | 角膜内をレーザーで切り抜く |
| 可逆性 | (元に戻せない) | ○(レンズ抜去可能) | (元に戻せない) |
| 角膜への影響 | 削る (強度が若干下がる) | 削らない (温存できる) | 削る (切開創は小さい) |
| 適応範囲 | 軽度〜中等度近視 | 強度近視・乱視にも対応 | 中等度〜強度近視 |
| ドライアイ | 一時的に出やすい(個人差あり) | 影響は少ない傾向(角膜を削らないため) | レーシックより少ない傾向(個人差あり) |
| ハロー・グレア | 夜間に光が滲むことがある(条件により) | ホールICLでも生じる可能性はある(程度は個人差) | レーシックより少ない傾向とされる(個人差あり) |
| 費用相場 | 20万〜40万円 | 40万〜80万円 | 30万〜50万円 |
| 回復の早さ | 翌日からほぼ見える | 翌日からほぼ見える | 数日〜1週間程度 |
コストパフォーマンスを重視し、軽度から中等度の近視の方にはレーシックが選ばれる傾向にあります。
一方で、費用は高くても角膜を削りたくない方や、強度近視の方にはICLが推奨されます。
どちらが優れているということではなく、あなたの目の状態と価値観によって「正解」は異なります。
最新機器「アマリス」や「7次元トラッキング」は何が違うのか
クリニックの公式サイトを見ると、「アマリス1050RS」や「7次元トラッキング」といった専門用語が並んでおり、混乱する方も多いでしょう。
これらは、レーザー照射の精度と安全性に関わる重要なスペックです。
例えば「アマリス1050RS」という機種は、1秒間に1050回という超高速でレーザーを照射することができます。
照射時間が短ければ短いほど、角膜が外気に触れる時間が減り、角膜実質の乾燥を防ぐことができるため、術後の炎症リスクを下げ、回復を早める効果が期待できます。
また、「7次元トラッキング」とは、手術中に無意識に動いてしまう眼球の動きを、センサーが7つの方向(上下、左右、回旋など)から追尾する機能です。
人間は一点を見つめているつもりでも、微細に眼球が動いてしまいます。
この動きを追尾し、レーザーの照射位置を補正することで、乱視矯正の精度向上や、術後の見え方(ハロー・グレア等)のリスク低減に寄与するとされています(※感じ方には個人差があります)。
安価なプランでは旧型の機器が使われることもありますが、目の手術は一生モノです。
数万円の差であれば、より安全性の高い最新機器を選ぶことを、技術的な観点からは強くおすすめします。
【医師監修】東京で失敗しないレーシック眼科の選び方5つの鉄則
東京には多くのクリニックが存在するため、どこを選べば良いか迷ってしまうのが本音でしょう。
しかし、病院経営に携わる専門家の視点で見れば、「選ぶべきではないクリニック」と「信頼できるクリニック」の違いは明白です。
ここでは、広告の華やかさに惑わされず、医療機関としての「質」を見極めるための5つの鉄則を解説します。


鉄則1:執刀医の「専門医資格」と「経歴」が開示されているか
最も重要なのは、「誰が手術をするか」です。
大手チェーンであっても、実際にメスを握る(レーザーを操作する)医師の技術と経験が結果を左右します。
公式サイトを確認する際は、執刀医のプロフィールページを必ずチェックしてください。
「日本眼科学会認定専門医」の資格を持っていることは最低条件です。
さらに、その医師がこれまでにどの程度の執刀実績を持っているか、そして出身大学や過去の勤務先などの経歴が詳細に記載されているかを確認しましょう。
尾内医師のアドバイス



ホームページで『医師の顔』が見えるか、経歴に空白期間がないか、所属学会が明記されているかを必ず確認しましょう。
医療において、透明性の高い情報開示は、自らの医療技術と安全管理への自信の表れと言えます。
逆に、医師の情報が曖昧なクリニックは、責任の所在が不明確になるリスクがあるため注意が必要です。
鉄則2:感染症対策とクリーンルームの基準
レーシックは角膜にフラップ(蓋)を作る手術であるため、万が一にも細菌が入り込むと深刻な感染症を引き起こすリスクがあります。
そのため、手術室の衛生管理、特にクリーンルームの基準が極めて重要になります。
信頼できるクリニックでは、大学病院の手術室と同等レベルの空気清浄度(ISO基準など)を維持しています。
また、使用する器具が使い捨て(ディスポーザブル)であるか、あるいは厳格な滅菌処理が行われているかも重要なチェックポイントです。
大量の手術をこなすクリニックだからこそ、効率よりも安全性を優先し、徹底した感染症対策を行っているかどうかが、そのクリニックの良心を映し出します。
鉄則3:「トータルコスト」の透明性と追加料金の有無
広告で「7万円〜」と謳っていても、実際にカウンセリングに行くと「あなたの目ではこのプランはできない」と言われ、高額なプランを提示されるケースは少なくありません。
重要なのは、検査代、手術代、薬代、術後の検診代、そして万が一の合併症治療費まで含めたトータルコストが明確であることです。
特に、術後の定期検診(通常は翌日、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後など)が有料か無料かは、総額に大きな差を生みます。
契約書にサインする前に、「これ以外にかかる費用は本当にないか」を必ず確認し、見積もりの内訳を詳細にチェックする癖をつけましょう。
鉄則4:アフターケアと「再手術保証」の適用条件
レーシックを受けた後、数年経過して再び近視が進んでしまう「戻り(リグレッション)」が起きる可能性があります。
その際、無料で再手術が受けられる保証期間が設けられているクリニックを選ぶことが重要です。
ただし、「保証期間:永久」と書いてあっても、その適用条件には注意が必要です。
「角膜の厚さが十分に残っている場合」や「医師が必要と判断した場合」といった但し書きがあることが一般的です。
また、再手術自体の費用は無料でも、そのための検査費用やお薬代、あるいは開瞼器(かいけんき)代などが別途請求されるケースもあります。
保証期間の長さ(3年、5年、10年、無期限など)だけでなく、その保証内容の細則までしっかりと読み込むことが、将来のトラブルを防ぐ鍵となります。
鉄則5:カウンセリングで「リスク」を自分から話す医師か
最後に、医師やカウンセラーの姿勢についてです。
「絶対に良くなります」「リスクはありません」といった、メリットばかりを強調するクリニックは避けるべきです。
医療行為に「絶対」はあり得ません。
信頼できる医師であれば、ハロー・グレアやドライアイ、過矯正といったリスクについて、聞かれる前に自ら説明します。
そして、あなたの目のデータを見ながら、「あなたの場合、角膜を削る量はこれくらいなので、リスクはこの程度考えられます」と、個別具体的な説明をしてくれるはずです。
カウンセリングは、単なる契約の場ではなく、医師との信頼関係を築けるかどうかのテストの場でもあるのです。
目的・タイプ別!東京のレーシックおすすめクリニック厳選比較


ここからは、先ほどの選び方の鉄則に基づき、東京エリアで特におすすめできるクリニックを厳選してご紹介します。
それぞれのクリニックには強みと弱みがあります。
あなたの優先順位(価格、実績、技術、安心感など)に合わせて比較検討してください。
まずは、主要なクリニックのスペックを比較表で確認しましょう。
▼ 東京主要クリニック(品川・新宿・先進会・井上)のスペック比較表
| クリニック名 | 品川近視クリニック 東京院 | 先進会眼科 東京 | 新宿近視クリニック | お茶の水・井上眼科 |
|---|---|---|---|---|
| 特徴 | 世界No.1の症例数とコスパ | ICL・レーシック両方の質が高い | 明朗会計とSBCグループの連携 | 歴史ある眼科の信頼性 |
| レーシック費用 | 7.5万〜35万円 | 19.8万〜39万円 | 約15万〜21万円 | 約46万円 |
| ICL費用 | 42,7万円〜 | 42,7万円〜 | 42,7万円〜 | 70.4万円〜 |
| 保証期間 | 1年〜10年 (プランによる) | 術後3年間の検診・アフターケア込み (再手術保証は術式・条件で要確認) | 1年〜3年 | 要問合せ |
| 所在地 | 有楽町 (駅直結) | 西新宿 | 西新宿 | 御茶ノ水 |
| 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
【総合力・実績】品川近視クリニック 東京院
品川近視クリニックは、国内のみならず世界レベルで見てもトップクラスの症例数を誇る最大手クリニックです。
その最大の強みは、圧倒的な「スケールメリット」にあります。
多数の患者を受け入れることで、最新鋭の機器(アマリス1050RSなど)をいち早く導入しつつ、部材の大量調達によって手術費用を抑えることを可能にしています。
「最高級の機器を、比較的リーズナブルな価格で受けたい」と考える方にとっては、最も合理的な選択肢と言えるでしょう。
一方で、非常に混雑しており、待ち時間が長くなる傾向にあることや、医師が多いため担当医制ではない(指名料がかかる場合がある)点がデメリットとして挙げられます。
しかし、執刀医の経験値は非常に高く、難症例のデータも豊富に蓄積されているため、イレギュラーな事態への対応力は高いと評価できます。
【質の高さ・ICL】先進会眼科 東京
先進会眼科は、レーシックだけでなくICLや白内障手術においても高い専門性を持つクリニックです。
特に「アイデザイン アイラス」という、一人ひとりの角膜の形状(高次収差)を詳細に解析し、オーダーメイドで照射プログラムを作成する技術に定評があります。
これにより、従来のレーシックよりもさらにクリアで鮮明な、「見え方の質」にこだわった視界を追求しています。
また、アフターケアの手厚さも特徴で、術後の検診や相談に対して親身に対応してくれるという口コミが多く見られます。
「ただ視力が出れば良いのではなく、夜間の見え方や質の高さにこだわりたい」という、こだわり派の方におすすめです。
【明朗会計】新宿近視クリニック
新宿近視クリニックは、美容医療大手の湘南美容クリニック(SBC)グループが運営する眼科です。
このクリニックの最大の特徴は、料金体系のわかりやすさにあります。
基本料金の中に、術後の検診費や薬代などが含まれており、後から追加費用が発生する不安が少ないのがメリットです。
また、SBCグループのポイントシステムが利用できるため、美容医療など他のサービスを利用している方にとっては、経済的なメリットも大きくなります。
立地も新宿駅から近く、土日祝日も診療を行っているため、忙しいビジネスパーソンでも通いやすい環境が整っています。
【大学病院連携】お茶の水・井上眼科クリニック
お茶の水・井上眼科クリニックは、明治時代から続く日本の眼科医療のパイオニア的存在です。
上記のような視力矯正専門のクリニックとは異なり、一般眼科診療から高度な手術まで幅広く対応する総合的な眼科病院です。
そのため、万が一術後に網膜剥離や緑内障などの別の目の病気が見つかった場合でも、スムーズに連携して治療を受けることができるという、圧倒的な「安心感」があります。
費用は他のクリニックと比較して高めに設定されていますが、「価格よりも、歴史と伝統ある医療機関での安心を買いたい」と考える保守的な層から根強い支持を得ています。
意外な穴場?都内の中規模眼科という選択肢
ここまで紹介した有名クリニック以外にも、都内には院長自らが執刀を行う中規模な眼科クリニックが存在します。
例えば、南青山アイクリニックや吉野眼科クリニックなどが挙げられます。
こうしたクリニックの魅力は、流れ作業ではなく、最初から最後まで一人の熟練した医師が責任を持って診てくれる「担当医制」に近い環境であることです。
大手のような派手な広告は出していませんが、その分、患者一人ひとりへの説明時間を長く取り、きめ細やかなケアを提供しています。
「大勢の中の一人として扱われるのは不安」「信頼できる一人の先生にお任せしたい」という方は、こうした中規模クリニックを選択肢に入れるのも賢い戦略です。
決して隠さない「レーシックのリスク・後遺症」と対策
レーシックを検討する際、最も気になるのが「失敗」への恐怖ではないでしょうか。
ここでは、多くのクリニックがあまり触れたがらないリスクや合併症について、包み隠さず解説します。
これらを事前に理解し、納得した上で手術に臨むことが、術後の不安を解消する唯一の方法です。
尾内医師のアドバイス



不安を感じたまま手術を受けることは、医学的にも精神衛生的にもお勧めしません。
『万が一』の確率や対処法について、納得できるまで医師に質問してください。
誠実な医師であれば、そうした質問に対して嫌な顔をせずに、データに基づいて答えてくれるはずです。
心の準備ができていない状態で手術を受けると、術後の軽微な違和感さえも大きなストレスに感じてしまうことがあります。
ハロー・グレア(光のぎらつき)はいつまで続くのか
ハロー・グレアとは、夜間に信号や街灯の光がにじんで見えたり(ハロー)、光がギラギラと眩しく感じたり(グレア)する現象です。
これは、レーシックで削った角膜の範囲よりも、暗い場所で開いた瞳孔の方が大きくなった場合に、光の乱反射が起こることで生じます。
術後しばらく(数週間〜数ヶ月)は生じる可能性がありますが、脳の順応により多くは時間とともに軽減します。
目安として3ヶ月〜半年で気になりにくくなるケースが多い一方、程度・期間には個人差があります。
しかし、元々の瞳孔径が大きい方や、角膜を削る範囲が狭い旧型の機器で手術を受けた場合、症状が長く残る可能性があります。
夜間の運転を職業にしている方や、夜景を見る機会が多い方は、事前に瞳孔径を測定し、医師とよく相談する必要があります。
最新の機器では、照射範囲(オプティカルゾーン)を広く設定することで、このリスクを大幅に軽減できるようになっています。
ドライアイの悪化と術後の点眼管理
レーシック手術では、角膜の表面にある知覚神経が一時的に切断されます。
そのため、「目が乾いている」という信号が脳に伝わりにくくなり、涙の分泌量が減ってドライアイになりやすくなります。
術後3ヶ月〜半年程度かけて神経は再生していきますが、その間は意識的に点眼薬(ヒアルロン酸など)を使用し、目を潤す必要があります。
元々ドライアイが酷い方や、デスクワークで長時間パソコンを使用する方は、術後に症状が悪化する可能性があるため、涙点プラグなどの処置が必要になることもあります。
「たかが乾燥」と甘く見ず、医師の指示通りに点眼を続けることが、視力の安定と感染症予防のために不可欠です。
過矯正と近視の戻り(リグレッション)の確率
過矯正とは、狙った視力よりも良くなりすぎてしまい、遠くは見えるものの、近くが見えづらくなったり、眼精疲労や頭痛が起きたりする状態です。
逆に、一度良くなった視力が再び低下してしまうことをリグレッション(近視の戻り)と呼びます。
人間の体には治癒力があるため、削った角膜が再生しようとして厚みが増し、再び近視化することが稀にあります。
特に強度近視の方の場合、削る量が多いため、戻りが生じるリスクが相対的に高くなります。
こうしたリスクに備えるために、前述した「再手術保証」が存在します。
万が一戻ってしまった場合に、無料で再手術が可能か、あるいは角膜の厚さが足りずに再手術ができない場合はどうするのか(眼鏡やコンタクトでの矯正に戻るのか)を、事前にシミュレーションしておくことが大切です。
将来、白内障や緑内障になった時に手術はできる?
「レーシックをすると、将来白内障手術ができなくなる」という噂を耳にしたことがあるかもしれません。
結論から言えば、手術は可能です。
ただし、レーシックによって角膜の形状が変わっているため、白内障手術の際に挿入する眼内レンズの度数計算が難しくなるという側面があります。
しかし、現在は計算式が進歩しており、レーシック術後の患者向けの計算ソフトも普及しているため、経験豊富な医師であれば問題なく手術を行うことができます。
重要なのは、将来目の病気になった際に、「過去にレーシックを受けている」という事実と、手術前の目のデータを担当医に伝えることです。
そのため、レーシック手術を受けた際のデータ(術前・術後のカルテのコピーなど)は、生涯大切に保管しておくことを強くおすすめします。
適応検査から手術当日、術後検診までのリアルな流れ
ここでは、実際にクリニックに足を運び、手術を受けるまでの具体的なシミュレーションを行います。
筆者が実際に取材を行い、適応検査を受けた際の体験をベースに、現場の空気感や注意点をお伝えします。
未知の手術に対する恐怖心は、「何が起こるか分からない」ことから生まれます。
流れを具体的にイメージすることで、その不安を少しでも和らげてください。
無料適応検査:ここで手術不可と言われる確率は?
まずは電話やWebで予約を取り、適応検査に向かいます。
多くのクリニックでは、この検査を無料で行っています。
検査当日は、視力検査、眼圧検査、角膜形状解析、眼底検査など、10種類以上の精密検査が行われ、所要時間は2〜3時間ほどかかります。
ここで重要なのが、「サイプレジン検査(調節麻痺薬)」です。
瞳孔を開く目薬を使用するため、検査後数時間は手元がぼやけたり、光が眩しく感じたりします。
そのため、当日は車の運転ができませんので、必ず公共交通機関を利用してください。
筆者が取材した際、カウンセラーの方に「検査に来て手術ができないと言われる人はどれくらいいますか?」と単刀直入に聞いてみました。
答えは「約1割〜2割程度」とのことでした。
角膜の厚不足や、網膜の異常などが主な理由です。
無理に手術を勧めるのではなく、しっかりとスクリーニング(選別)を行っているクリニックほど信頼できると言えます。
【助言】クリニックの誠実さを見抜く「核心を突く質問」
検査に行ったら、担当のカウンセラーや視能訓練士に、ぜひ一つだけ「少し踏み込んだ質問」を投げてみてください。
「正直、視力が戻ってしまって再手術になる人はどれくらいいますか?」
この質問への対応で、そのクリニックの誠実さが分かります。
もし「うちは腕が良いので絶対大丈夫です」と精神論で返されたら要注意です。
逆に、嫌な顔一つせず「当院では全体の約〇%の方が再手術を受けています。特に強度近視の方はその確率が少し上がります」と、具体的なデータで正直に答えてくれるクリニックこそ、リスク管理が徹底されている証拠と言えます。
手術当日:痛みはある?手術時間は実質10分
手術当日は、ノーメイクで来院します。
手術着に着替え、点眼麻酔を行います。
注射などの麻酔ではないため、痛みはありません。
手術室に入ると、独特の機械音が聞こえますが、医師や看護師が常に声をかけてくれるので安心感があります。
手術台に横になり、開瞼器(かいけんき)という器具でまぶたを固定されます。
実は、レーシック体験者の多くが「一番辛かったのはこのまぶたを固定される瞬間だった」と語るほど、手術自体には痛みがありません。
フラップを作る工程と、レーザーを照射する工程を合わせて、片眼あたり数分、両眼でも実質10分〜15分程度で終了します。
レーザー照射中は、目の前の緑色の光をじっと見つめるだけです。
「目を動かしたらどうしよう」と不安になりますが、前述のトラッキング機能が追尾してくれるため、過度に心配する必要はありません。
術後翌日〜1週間:視力回復の実感と生活制限
手術直後は、視界が白く霞んだり、涙が止まらなかったりすることがあります。
これは正常な反応です。
帰宅後は目を酷使せず、処方された目薬をさして早めに就寝しましょう。
驚くのは翌日の朝です。
目覚めた瞬間、天井の模様や時計の針がくっきりと見えることに感動する人が大半です。
翌日検診で視力を測ると、多くの人が1.0〜1.5程度まで回復しています。
ただし、術後1週間は感染症を防ぐための重要な期間です。
洗顔や洗髪が制限される(目に水が入らないようにする)、就寝時に保護メガネを着用する、激しい運動を控えるといったルールを徹底する必要があります。
この期間のケアを怠らないことが、クリアな視界を一生モノにするための最後の関門です。
費用相場と支払い方法・医療費控除の活用術
レーシックは健康保険が適用されない自由診療です。
決して安くない出費となるため、お金に関する疑問はクリアにしておきましょう。
ここでは、東京エリアの相場感と、少しでもお得に受けるための公的制度について解説します。
東京のレーシック費用相場(グレード別)
費用は、使用する機器のスペックや保証期間の長さによって大きく異なります。
大きく分けて「標準プラン」と「プレミアムプラン」の2つに分類できます。
- ケラトームという金属の刃でフラップを作成する場合など。
- 現在は主流ではなくなりつつあります。
- 全てレーザーでフラップを作成(フェムトセカンドレーザー)。
- アマリス1050RSなどの高性能機器を使用。
- 多くの人が選択するボリュームゾーンです。
▼ 東京エリアのグレード別費用相場グラフ
| グレード | 費用相場 (両眼) | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 10万〜15万円 | コスト重視。ケラトーム使用など。 | |
| アドバンス | 20万〜25万円 | レーザー使用。標準的なスペック。 | |
| プレミアム | 30万〜40万円 | 最新機器・長期保証・オーダーメイド照射。 | |
| ICL | 40万〜80万円 | 眼内レンズ。角膜を削らない。 |
「安さ」だけで選ぶと、角膜を削る量が増えたり、ハロー・グレアのリスクが高まったりする可能性があります。
一生使う目のことですから、価格差と性能差を天秤にかけ、納得できるプランを選ぶことが重要です。
医療費控除で実質いくら安くなる?計算シミュレーション


レーシック手術は、国の医療費控除の対象となります。
1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の合計が10万円を超える場合、確定申告を行うことで、所得税の一部が還付され、翌年の住民税が安くなります。
例えば、年収500万円の会社員が、30万円のレーシック手術を受けた場合をシミュレーションしてみましょう。
- 医療費控除額 = 30万円 - 10万円 = 20万円
- 所得税の還付金目安 = 20万円 × 20%(税率) = 約4万円
- 住民税の減税額目安 = 20万円 × 10% = 約2万円
合計で約6万円の実質的な負担軽減となります。
これは非常に大きな金額です。
手術の領収書は再発行されないことが多いので、確定申告の時期まで大切に保管しておきましょう。
なお、通院にかかった交通費も対象になりますので、記録しておくことをおすすめします。
民間の医療保険(手術給付金)は対象になる?
生命保険や医療保険に加入している場合、「手術給付金」が出るかどうかが気になるところです。
結論から言うと、2007年4月以前に契約した古い保険であれば、給付金の対象になる可能性があります。
しかし、それ以降に契約した保険では、レーシックは「病気や怪我の治療」ではなく「視力矯正」とみなされ、給付対象外となっているケースがほとんどです。
ご自身が加入している保険会社に、「レーシック(正式名称:レーザー角膜内切削形成術)は対象になりますか?」と問い合わせて確認してみましょう。
もし対象であれば、数万円〜10万円程度の給付金が受け取れるため、費用負担を大幅に減らすことができます。
よくある質問(FAQ)に専門視点で回答
最後に、レーシックに関するよくある質問について、医学的な見解はもちろん、「失敗だけはしたくない」と慎重に検討されている方が、本当に知りたいポイントに絞って回答します。
40代・50代で老眼が入ってきてもレーシックはできますか?
可能ですが、術後の見え方について十分なシミュレーションが必要です。
レーシックで遠くがよく見えるようになると、相対的に近くが見えにくくなるため、老眼の自覚症状が強くなることがあります。
そのため、あえて片目を遠く用、もう片目を近く用に調整する「モノビジョン」という手法を取ることもあります。
40代以降の方は、「遠くを裸眼で見たいのか」「近くも見たいのか」という優先順位を整理することが大切です。
尾内医師のコメント



加齢に伴う身体機能の変化は避けられません。
重要なのは、『全ての機能を完璧に保つこと』ではなく、『現在の生活で何を優先すればQOL(生活の質)が上がるか』を考えることです。
老眼鏡を受け入れられるなら、遠くをレーシックで矯正するのは非常に良い選択肢となります。
手術中に目を動かして失敗することはありますか?
基本的にはありません。
前述の通り、最新のレーザー機器には高性能なトラッキング(追尾)機能が搭載されています。
微細な動きにはレーザーが追従し、大きく動いてしまった場合は安全装置が働いてレーザー照射が自動停止します。
医師も手術中に「真ん中の光を見ていてくださいね」と声をかけ続けますので、過度な心配は不要です。
コンタクトレンズを長年使っていますが角膜は大丈夫?
長期のコンタクト使用で角膜内皮細胞が減っている場合や、角膜が変形している場合があります。
これらは適応検査で詳しく調べます。
特にハードコンタクトレンズを使用している方は、角膜の形状に影響を与えている可能性があるため、検査の2週間以上前から装用を中止する必要があります(ソフトレンズの場合は数日前から)。
正確な検査データを得るために、この中止期間は必ず守ってください。
当日すぐに仕事復帰は可能ですか?
原則として、翌日検診まではお休みを取ることを推奨します。
デスクワークであれば翌日から可能ですが、長時間モニターを見続けると目が乾きやすく、疲れやすくなります。
可能であれば、手術翌日も含めて2〜3日の休暇を確保し、目を休める時間を取ると回復がスムーズです。
力仕事や埃っぽい場所での作業は、1週間程度控えるのが安全です。
まとめ:視界が変われば世界が変わる。まずは適応検査へ


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
レーシック手術は、単に視力が良くなるだけでなく、朝起きてすぐに時計が見える、災害時に眼鏡を探さなくて済む、旅行やスポーツを全力で楽しめるなど、あなたの人生の「質」を劇的に向上させる可能性を秘めています。
しかし、それはあくまで「安全な手術」が行われてこその話です。
最後に、信頼できるクリニック選びのポイントをおさらいしましょう。
- [ ] 執刀医の顔と経歴:専門医資格を持ち、経験豊富な医師が担当するか。
- [ ] リスクの説明:メリットだけでなく、ハロー・グレアや戻りのリスクを自ら説明してくれたか。
- [ ] 費用の透明性:表示価格は総額か。検診代や薬代が含まれているか確認したか。
- [ ] 衛生管理:院内は清潔か、感染症対策についての説明があったか。
- [ ] 機器のスペック:価格の安さだけでなく、安全性の高い最新機器を使用しているか。
尾内医師からのメッセージ



『見える』ということは、情報の入り口であり、心の健康にも直結する大切な要素です。
視界がクリアになることで、性格まで明るく前向きになる患者様を数多く見てきました。
不安はあるかと思いますが、正しい知識を持ち、信頼できる医療機関を選ぶことで、その不安は解消できます。
皆様がご自身にとって最良のパートナーとなる医師と出会い、不安なく新しい視界を手に入れられることを、心より願っています。
まずは、いくつかのクリニックで無料の適応検査を受けてみてください。
そこで医師やスタッフの対応を自分の目で確かめることが、失敗しないための最初の一歩です。
あなたの視界が鮮やかに変わり、より豊かな毎日が訪れることを応援しています。
参考文献・リンク集

