毎朝のコンタクトや眼鏡の煩わしさから解放されるICL。期待が高まる一方で、ネットの「やめたほうがいい」という声に不安を感じていませんか?
結論から言えば、ICLは満足度95%以上(STAAR Surgical社調査)を誇る安全性の高い術式です。
ただし、後悔を防ぐには医学的な知識だけでなく、視覚の変化に脳が対応するための「心の準備」が欠かせません。
本記事では、精神科専門医・尾内隆志医師の監修のもと、最新のエビデンスに基づいた失敗回避のポイントを凝縮してお伝えします。
- 「後悔・失敗」と言われる医学的理由とトラブル回避のコツ
- 精神科医が教える、手術前の恐怖を安心に変えるためのステップ
- 術後のQOL変化のリアルと、信頼できるクリニック選びの基準
なぜ「ICLはやめたほうがいい」と言われるのか?後悔の正体を分析する
ICL(眼内コンタクトレンズ)は、眼の中に小さなレンズを挿入して視力を矯正する術式です。
1980年代の登場以来、世界80カ国以上で承認されている安定した技術ですが、一部で「やめたほうがいい」というネガティブな意見も見られます。
これらの多くは、リスクへの過剰な懸念や、事前の期待値とのミスマッチが原因です。
まず理解すべきは、ICLがレーシックと異なり「可逆的」な手術であるという点です。
角膜を削るレーシックは元に戻せませんが、ICLは必要に応じてレンズを取り出し、元の状態に戻すことが可能です。
この「将来的な修正が可能」という安心感が、2025年現在、幅広い層に支持されている大きな理由です。
ICL手術の仕組みとレーシックとの決定的な違い
現在の主流は、レンズ中央に微細な穴が開いた「ホールICL」です。
以前のモデルでは眼内の水の流れを確保するために虹彩に穴を開ける処置が必要でしたが、最新モデルではそのプロセスが不要となり、合併症(白内障や眼圧上昇)のリスクが劇的に低下しました。
レーシックとの最大の違いは、矯正の精度と角膜への負担です。
レーシックは強度近視の人ほど角膜を多く削る必要があり、視力の質の低下や「戻り」のリスクが伴いますが、ICLはレンズを置くだけのため、強度近視や乱視が強い方でも、非常にシャープで安定した視界を維持しやすいのが特徴です。
「ハロー・グレア現象」は失敗か?術後の視覚変化と脳の適応

術後の口コミで頻出する「夜間の光が輪のように見える(ハロー)」「光が眩しく広がる(グレア)」という現象は、医学的な「失敗」ではありません。これはレンズの構造上、物理的に発生しうる光学現象です。
重要なのは、この変化に対して脳がどのように適応するかという点です。
多くの場合、数ヶ月から 1 年程度で、脳がその光の情報を「不要な背景ノイズ」として処理し、気にならなくなります。
これを神経順応(ニューロアダプテーション)と呼びます。このプロセスを知っているかどうかで、術後の安心感は大きく変わります。
「角膜内皮細胞」への影響と将来の白内障手術への備え
長期的な懸念として挙げられる「角膜内皮細胞」の減少についても、現在の主流である後房型ICLでは、長期的な細胞減少率は生理的な減少率とほぼ同等であるとする研究結果が示されており、ダメージは極めて限定的です。
また、「将来白内障になった際に手術ができないのでは?」という不安も誤解です。
ICLを取り出せば通常の白内障手術が可能であり、角膜を削っていない分、むしろ白内障手術時の度数計算が正確に行いやすい(角膜形状が変化していないため、術前のデータをそのまま使えて計算が容易)という利点もあります。
SNSで散見される「後悔」の多くは「事前説明の不足」に起因する
「後悔」というキーワードで発信されている情報を精査すると、その多くは合併症そのものではなく、「老眼の影響を考慮していなかった」「ドライアイが完全に消失すると思っていた」といった、カウンセリング時の認識のズレに起因しています。
尾内 隆志 医師のアドバイス
尾内 医師医療における満足度は、術後の結果だけでなく「事前の納得感」に強く依存します。専門知識を持つ医師と、それを受ける患者さんの間で情報の差(情報の非対称性)があると、術後のわずかな感覚の変化を「異常」として捉え、強いストレスを感じやすくなります。メリットだけでなく、起こりうる変化を論理的に受け入れるプロセスこそが、術後の幸福度を高める土台となります。
▼ICL vs レーシック比較・メリットデメリット一覧
| 比較項目 | ICL (眼内コンタクトレンズ) | レーシック |
|---|---|---|
| 術式 | レンズを挿入する | 角膜をレーザーで削る |
| 可逆性 | あり(取り出し・交換可能) | なし(削った角膜は戻らない) |
| 強度近視 | 適応(矯正精度が高い) | 不向き(リスクが増大する) |
| ドライアイ | 影響が少ない | 一時的に悪化しやすい |
| 費用相場 | 45万〜80万円 | 20万〜40万円 |
| 将来の白内障 | 通常通り手術可能 | 度数計算が複雑になる傾向 |
【精神科専門医 監修】手術が怖い…「予期不安」を乗り越える心理学的アプローチ
「目に器具が入る」という想像は、誰にとっても恐怖を感じるものです。これは生物としての正常な生存本能ですが、度を超えた不安は適切な判断を妨げます。
本セクションでは、精神医学の観点からこの「恐怖心」をコントロールする手法について詳説します。
なぜ「眼の手術」に強い恐怖を感じるのか
人間が受け取る情報の 8 割以上は視覚に依存しているため、眼に対する侵害刺激は脳の扁桃体(へんとうたい)を強く刺激し、強烈な拒絶反応を引き起こします。
しかし、実際の手術では強力な点眼麻酔が施されるため、痛みを感じることはほぼありません。恐怖の正体は「痛み」ではなく「未知の体験へのコントロール感の喪失」にあります。
認知行動療法の考え方を応用した「不安の可視化」ワーク
漠然とした恐怖を「管理可能な情報」に変えるには、以下のワークが有効です。


- 具体化: 「何が一番怖いのか」を書き出す(例:手術中に動いたらどうしよう)。
- 事実確認: その事態に対するクリニック側の対策を知る(例:目を固定する器具を使用するため、多少の動きは問題ない)。
- 再構成: 「プロの医師が万全の体制で行うため、自分が頑張って静止し続けなくても大丈夫だ」という認識に置き換える。
尾内 隆志 医師のアドバイス



予期不安とは、未来の不利益を脳が先取りして警戒している状態です。精神医学的には、不安を「ゼロ」にしようとするのではなく、事実に基づいた情報を整理し、不安を「解体」して管理可能なレベルに落とし込むことが重要です。専門医とのカウンセリングで、自分の懸念事項をすべて言語化し、一つひとつ回答を得ることが、脳にとって最大の安心材料となります。
術後の違和感と「脳の順応」をスムーズに進める心の持ちよう
手術が成功しても、術直後は「光の見え方」に違和感が出ます。ここで完璧主義に陥ると、「失敗したのではないか」という思考のループに陥りやすくなります。
「最初の数ヶ月は脳が新しい視界を学習している期間」と捉え、ゆったりとした構えで過ごすことが、結果として神経順応を早めることに繋がります。
生活・仕事に与える影響と視力回復によるQOLの変化
日常生活や仕事において、ICLによる視力回復がどのような実利をもたらすのか。2025年現在のライフスタイルに即して検証します。
デジタルデバイス作業とドライアイの軽減
デスクワークやスマホ利用時間が長い現代人にとって、コンタクトレンズによるドライアイは深刻な問題です。
ICLは角膜を削らず、レンズを装用し続ける不快感もないため、長時間の集中作業時でも目の乾燥によるストレスを大幅に軽減できます。
「目に意識がいかなくなる」ことが、生産性向上に寄与するのです。
運動時・緊急時の機動力と安全性
スポーツ時の眼鏡のズレやコンタクトの脱落を気にしなくて済むようになるほか、災害時の安全確保という面でもICLは注目されています。
就寝中の緊急時に眼鏡を探す必要がなく、避難所等の衛生環境が悪い場所でコンタクトケアに悩まされることもありません。
これは現代における「視力のインフラ化」とも言えるメリットです。
老眼が始まった際の見え方と長期的なシミュレーション
30代〜40代でICLを検討する場合、将来必ず訪れる「老眼」への理解が必要です。ICLで遠くがよく見えるようになると、老眼の影響を自覚しやすくなる場合があります。
しかし、これはICL特有の現象ではなく、視力が良い人が等しく経験する変化です。
将来的に度数を調整したり、近くを見る時だけ老眼鏡を使用したりするなど、その時のライフスタイルに合わせた選択肢を医師と相談しておくことが大切です。
失敗しないクリニック選びの「新基準」|認定医・設備・アフターケア
ICL手術の成功は、医師の技術と設備の質に大きく依存します。「近さ」や「安さ」だけで選んで後悔しないために、プロが注目するつの選定基準を整理しました。
認定医と「エキスパートインストラクター」の存在
ICLはスターサージカル社が認定した医師のみが執刀できますが、その中でも特に経験豊富で、他の医師を指導する立場にあるのが「エキスパートインストラクター」です。
難症例の経験数やトラブル回避能力を測る一つの大きな指標となります。
適応検査の厳格さと「断る勇気」のあるクリニック
ICLには「不適合」とされる明確な基準(角膜内皮細胞の数、前房の深さなど)があります。
検査において、メリットだけでなくリスクも誠実に説明し、適応がない場合にははっきり告げてくれるクリニックは、医療としての誠実さを優先していると言えます。
術後保証の内容を精査する
度数が合わなかった場合のレンズ交換や、乱視軸がずれた際の再固定などが「初回の費用」に含まれているかを確認することが、万が一の際の安心に直結します。
最新の検査機器(CASIA2など)の導入
ICLの精度は「目のサイズの正確な測定」にかかっています。
三次元光干渉断層計(OCT)などの最新機器を用い、レンズが収まるスペースを0.01mm単位でシミュレーションしているかどうかが、術後の眼圧トラブルを防ぐ鍵となります。
手術当日から術後までのリアルな経過と制限事項
手術の流れと生活上の注意点を、時間軸に沿ってまとめます。
【手術当日】所要時間と当日の視界
手術自体は片目5〜10分程度、入店から退店までは数時間です。当日は瞳孔を開く薬の影響で眩しく、視界がぼやけますが、保護用サングラスをかけて自力で帰宅できる程度です。
【術後1〜3日】視界の安定と初期症状
翌朝には劇的な視力回復を実感する方が大半です。一時的なゴロゴロ感や充血が出ることがありますが、処方される目薬を指示通り使用することで数日内に落ち着きます。
この期間は細菌感染を防ぐため、洗顔や洗髪に制限がかかることが一般的です。
【術後1ヶ月】生活の完全正常化
1週間検診、1ヶ月検診を経て、運動やメイクなどの制限が段階的に解除されます。ハロー・グレア現象も徐々に脳が慣れ始め、日常生活で意識することが少なくなっていきます。
費用・寿命・老後に関するよくある疑問と真実
高額な自由診療だからこそ、金銭面の損得勘定や長期的なリスクについては、1ミリの妥協もなく把握しておく必要があります。将来を見据えた「本当のコスト」を明らかにします。
2025年の費用相場と医療費控除
両眼で 45万〜80万 円程度と幅がありますが、ICLは「確定申告による医療費控除」の対象です。
年収や支払額によりますが、数万円から十数万円の還付を受けられる可能性があるため、領収書は必ず保管しておきましょう。
レンズの寿命と将来の取り出し可能性
レンズは生体適合性の高い素材で作られており、眼の中で変質することはありません。基本的には半永久的に使用可能ですが、将来の白内障手術時には取り出すことが可能です。
この「将来の選択肢を奪わない」点が、長期的な安心感に寄与しています。
老後・老眼への対応と最新動向
現在、国内で承認されているレンズは単焦点が中心のため、老眼(近くの見えにくさ)には老眼鏡等での対応が必要です。
しかし、近年では海外で「多焦点ICL(老眼矯正対応)」の実用化・報告も進んでいます。国内未承認ではあるものの、将来的には老眼も同時に矯正できる選択肢が広がる展望があります。
ICL手術に関するよくある質問(FAQ)
最後に、カウンセリングで多くの患者さんが口にするものの、解決しきれていない「細かな疑問」をQ&A形式でまとめました。あなたの不安もここで解消できるはずです。
まとめ:後悔しないための検討チェックリスト
ICL手術は、単に視界をクリアにするだけでなく、日常の制約から解放され、心理的自由を得る手段の一つです。
ネット上のネガティブな情報を鵜呑みにせず、医学的な根拠に基づいて検討することが、後悔しないための近道です。
- [ ] ICL認定医、特に実績豊富な医師が在籍しているか?
- [ ] 適応検査で自分の目のリスクも誠実に説明されたか?
- [ ] 術後のハロー・グレアや脳の順応期間について理解できたか?
- [ ] 将来の老眼対策(老眼鏡、将来の多焦点ICLの可能性)に納得したか?
- [ ] 自分の不安に対して、医師が真摯に答えてくれたか?
視力を取り戻すことは、自分自身の行動範囲や自信を広げることに繋がります。
まずは信頼できるクリニックでの「適応検査」を受け、自分の目の可能性を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献・引用元

