【精神科医監修】サクセンダとマンジャロの違いは?脳科学で選ぶ痩せる注射の効果と危険性
【精神科医監修】サクセンダとマンジャロの違いは?脳科学で選ぶ痩せる注射の効果と危険性

【精神科医監修】サクセンダとマンジャロの違いは?脳科学で選ぶ痩せる注射の効果と危険性

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この記事の監修者
尾内 隆志 (おない たかし) Takashi Onai, M.D.
  • 資格:公益社団法人 日本精神神経学会 精神科専門医
  • 所属・役職:医療法人社団青雲会 北野台病院 理事長
  • 専門分野:臨床精神科医学一般、EDに伴う心理的側面
  • 医籍登録:医師免許取得:平成12年5月(医籍登録番号:409881)
学歴・職歴(要点を表示)
【学歴】
郁文館高等学校(平成3年4月〜平成6年3月)
聖マリアンナ医科大学 医学部医学科(平成6年4月〜平成12年3月)

【職歴】
東京大学医学部附属病院 精神神経科(平成12年4月〜平成13年5月)
針生ヶ丘病院 精神科(平成13年6月〜平成15年5月)
初石病院 精神科(平成15年6月〜平成17年5月)
手賀沼病院 精神科(平成17年6月〜平成18年12月)

理事長/院長よりご挨拶:
昭和32年の開院以来、地域の皆様に支えられ半世紀をこえる歴史を重ねてまいりました。社会や生活スタイルの変化に伴い精神医療も大きく変化しています。私たちは優しく開かれた医療をめざし、地域に根ざした活動を推進し、患者様・ご家族に安心いただけるホスピタルづくりに尽力してまいります。

サクセンダマンジャロ、どちらも「痩せる注射」として注目されていますが、その最大の違いは「脳への作用の強さ」と「副作用とのバランス」にあります。

どちらも医学的に効果が認められた優れた薬剤ですが、あなたの「ライフスタイル」や「性格(痛みへの耐性や短期集中志向など)」によって、最適な選択肢は明確に異なります。

この記事では、精神科専門医の尾内隆志先生監修のもと、以下の3点を中心に徹底解説します。

  • 精神科医が解説する「脳から食欲が消える」メカニズムと薬の違い
  • 【比較表】効果・費用・副作用から導く、あなたに合う薬剤診断
  • 後悔しないために知っておくべき「やめた後のリバウンド」とメンタルケア

多くの人が抱える「副作用が怖い」「本当に痩せるのか不安」という疑問に対し、医学的根拠と実体験を交えて、包み隠さずお答えします。


目次

【精神科医が解説】なぜ注射で痩せるのか?脳と食欲のメカニズム

このセクションでは、まず「なぜ注射を打つだけで痩せるのか」という根本的なメカニズムについて解説します。

多くの方がダイエットに挫折するのは、「我慢が足りないから」でも「意思が弱いから」でもありません。

それは、脳内のホルモンバランスや、食欲をコントロールする神経伝達の仕組みに原因があることが多いのです。

ここでは、GLP-1受容体作動薬という薬がどのように脳に働きかけ、食欲を自然に抑制するのか、その科学的な裏付けを詳しく見ていきましょう。

意思の力は不要?「GLP-1」が食欲中枢に働きかける仕組み

サクセンダやマンジャロの有効成分であるGLP-1が、脳の食欲中枢に作用して満腹シグナルを送り、胃の消化活動を抑制する仕組みを示した図解イラスト。

私たちが空腹を感じたり、満腹を感じたりするのは、胃腸の状態だけでなく、脳の視床下部にある「食欲中枢」が深く関わっています。

通常、食事をして血糖値が上がると、小腸から「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」というホルモンが分泌されます。

このホルモンは、膵臓に働いてインスリンの分泌を促し血糖値を下げるだけでなく、脳の食欲中枢にも直接作用して「もうお腹いっぱいだ」というサインを送ります。

さらに、胃の働きを抑制し、食べたものを胃から腸へ送り出すスピードを遅くする作用(胃排泄遅延作用)もあります。

これにより、少量の食事でも満腹感が長く続き、自然と摂取カロリーが減るのです。

しかし、肥満傾向にある方は、このGLP-1の分泌量が少なかったり、効きが悪かったりすることが分かっています。

その結果、いくら食べても脳が満足せず、つい食べ過ぎてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

サクセンダやマンジャロといった「GLP-1受容体作動薬」は、この体内のGLP-1と同じような働きをする薬剤を、注射によって外部から補充する治療法です。

つまり、薬の力で人工的に「満腹シグナル」を脳に送り続けることで、無理な我慢をすることなく、自然に食欲を抑えることが可能になります。

これは、精神論や根性論でのダイエットとは一線を画す、医学的・生理学的なアプローチなのです。

尾内 隆志 医師 (精神科専門医) の解説

尾内 医師

多くの方が『自分は意思が弱いから痩せられない』と自分を責めて来院されます。
しかし、医学的に見れば、肥満は個人の性格の問題ではなく、脳の『セットポイント(体重設定値)』やホルモン調整機能の不具合であるケースが非常に多いのです。
脳が『もっとエネルギーが必要だ』と誤認している状態で、意思の力だけで食欲に抗うのは、息を止めるのを我慢するのと同じくらい困難なことです。
この治療薬は、脳の食欲中枢に直接アプローチし、暴走した食欲のスイッチを正常に戻す役割を果たします。
決して『楽をするための薬』ではなく、脳の機能を正常化させるための『治療』であると理解してください。

サクセンダ(リラグルチド)とマンジャロ(チルゼパチド)の決定的な違い

サクセンダとマンジャロは、どちらも食欲を抑える注射薬ですが、その成分と作用機序には明確な違いがあります。

これが、効果の強さや副作用の出方に大きく影響しています。

まず、サクセンダの有効成分は「リラグルチド」です。

これは、先ほど説明した「GLP-1」という1種類のホルモンの働きを模倣する薬剤です。

GLP-1受容体に作用することで、食欲抑制と血糖値コントロールを行います。

世界中で長く使用されており、抗肥満薬としての実績が非常に豊富なのが特徴です。

一方、マンジャロの有効成分は「チルゼパチド」です。

これは、「GLP-1」に加えて、「GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)」というもう一つのホルモンの働きも模倣する、世界初の「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」です。

GIPもまた、インスリン分泌を促したり、脂肪代謝に関わったりするホルモンですが、GLP-1と組み合わせることで相乗効果を生み出し、より強力な体重減少効果を発揮することが臨床試験で示されています。

簡単に言えば、サクセンダが「シングルアタック」であるのに対し、マンジャロは「ダブルアタック」で脂肪と食欲に立ち向かう薬だと言えます。

そのため、一般的にはマンジャロの方が体重減少効果が高いとされていますが、その分、体への作用も強烈であり、副作用のリスクやコスト面での違いも考慮する必要があります。

「医療ダイエット=危険」?精神科医から見た依存性と安全性

「痩せる薬」と聞くと、一昔前に問題になった覚醒剤類似成分を含む危険なダイエット薬(マジンドールの一部不適切な使用例など)や、向精神薬のような依存性を心配される方がいらっしゃいます。

「一度使い始めたら、薬がないと精神的に不安定になるのではないか?」「やめられなくなるのではないか?」という不安は、もっともなことです。

しかし、サクセンダやマンジャロなどのGLP-1受容体作動薬は、脳の中枢神経に作用するものの、覚醒剤や一部の睡眠薬のような「依存性(身体的依存・精神的依存)」はありません。

これらの薬は、あくまで生理的なホルモンの働きを補うものであり、脳の報酬系(快楽を感じる回路)を直接刺激して多幸感をもたらしたり、薬が切れたときに激しい離脱症状(禁断症状)を引き起こしたりするものではないからです。

もちろん、適切な用量や使用期間を守らなければ、低血糖などの身体的な副作用のリスクはありますが、薬物依存という観点での危険性は極めて低いとされています。

ただし、「痩せている状態への執着」という心理的な依存(摂食障害的な心理状態)には注意が必要です。

薬を使えば痩せるからといって、標準体重を大きく下回っても使い続けようとしたり、薬を使わないと太る恐怖でパニックになったりするのは、薬理学的な依存ではなく、心理的な問題です。

だからこそ、当院のように精神科医が関与し、メンタルヘルスの観点からもサポートを行うことが重要なのです。

尾内 隆志 医師 (精神科専門医) の解説

尾内 医師

サクセンダやマンジャロには、麻薬や向精神薬のような『脳をハイにする』作用や『もっと欲しくなる』という渇望を生む中毒性はありません。
その点では、医学的に安全性が確立された薬剤です。
しかし、『痩せ薬』という言葉の響きが、時に患者様の『痩せ願望』を過度に刺激してしまうことはあります。
薬はあくまで、健康的な体重に戻すための補助輪です。
精神科医の視点からは、薬の効果に頼りすぎず、薬を使用している期間中に、いかにして『太りやすい生活習慣や思考の癖』を修正できるかが、真のゴールだと考えています。
適切な指導の下で使用すれば、心身ともに安全にダイエットを進めることができます。


徹底比較!サクセンダ vs マンジャロ どっちを選ぶべき?

「仕組みは分かったけれど、結局私にはどっちがいいの?」

ここからは、実際に治療を選択する際に最も重要となる、サクセンダとマンジャロの具体的な比較を行っていきます。

効果の強さ、費用の違い、通院の手間、そして副作用の辛さ。

これらを天秤にかけ、ご自身のライフスタイルに合った一本を見極めるための判断材料を提供します。

決して安い投資ではありませんので、スペック上の違いだけでなく、実際の生活への影響も考慮して選ぶことが大切です。

「やっぱり針は怖い…」そんな方には飲むタイプ(リベルサス)

ここまで注射薬について解説してきましたが、どうしても「針に対する不安」が拭えない方もいらっしゃると思います。

そんな方には、GLP-1受容体作動薬の中で唯一の飲み薬である「リベルサス」という選択肢があります。

▼リベルサスの特徴
  • メリット: 毎日1錠飲むタイプなので、注射への抵抗感がありません。
  • デメリット: 一般的に、注射薬(サクセンダやマンジャロ)に比べると、体重減少のデータはマイルドな傾向にあります。また、「起床直後の空腹時に飲み、その後30分は飲食禁止」という服用ルールを守る必要があります。

「まずは飲み薬から始めて、様子を見てから注射を検討する」という方法も可能ですので、無理せずご相談ください。

【一覧表】効果・費用・通院頻度・副作用の完全比較

まずは、両者の基本的なスペックを比較表で確認しましょう。

それぞれの項目について、詳しくは後述しますが、全体像を把握することで、ご自身の優先順位(コストなのか、効果なのか、手軽さなのか)が見えてくるはずです。

サクセンダ(毎日投与・調整可能・効果マイルド・副作用中)とマンジャロ(週1回投与・固定用量・効果強力・副作用強)の主要な特徴をアイコンで対比させた比較インフォグラフィック。

▼サクセンダ・マンジャロ基本スペック比較表

スクロールできます
項目サクセンダ (Saxenda)マンジャロ (Mounjaro)
有効成分リラグルチド (GLP-1受容体作動薬)チルゼパチド (GIP/GLP-1受容体作動薬)
投与頻度毎日 1回 (自己注射)週に 1回 (自己注射)
体重減少効果ミドル (-5% 〜 -10%程度)ハイ (-15% 〜 -20%以上も報告あり)
1ヶ月の費用目安20,000円 〜 40,000円30,000円 〜 60,000円 (用量による)
針の痛み極細針で痛みは少ないオートインジェクターで一瞬チクッとする程度
副作用 (吐き気)投与初期に出やすいが、微調整で軽減可サクセンダより強い傾向あり (個人差大)
国内承認状況未承認 (肥満症治療薬としては未承認) ※承認済み (ただし2型糖尿病治療薬として)

※サクセンダは欧米では抗肥満薬として承認されていますが、日本では未承認医薬品(自由診療)となります。
※マンジャロも、日本では2型糖尿病治療薬として承認されており、ダイエット目的での使用は適応外(自由診療)となります。(なお、2023年以降、同系統の薬剤で肥満症適応を持つものが日本でも承認され始めていますが、適応基準は厳格に定められています)

サクセンダ・マンジャロ以外の薬(オゼンピック・リベルサス等)との違い

医療ダイエットには、サクセンダとマンジャロ以外にもいくつかの選択肢があります。

「飲み薬なのか注射なのか」「週に何回打つのか」「費用の目安」がそれぞれ異なります。

当院では、患者様のライフスタイルやご希望に合わせて適した薬をご提案していますが、まずは全体像を把握しておきましょう。

▼主要GLP-1受容体作動薬の比較(自由診療)

スクロールできます
薬剤名タイプ投与頻度減量効果の期待度特徴
マンジャロ注射週1回★★★★★2つの成分を配合。GIP/GLP-1の二重作用で、より高い効果が期待されています。
サクセンダ注射毎日★★★☆☆微調整が可能。毎日打つ必要がありますが、体調に合わせて量を調整しやすいです。
ウゴービ注射週1回★★★★☆国内承認薬(※)。マンジャロに次ぐ効果が臨床試験で報告されています。
オゼンピック注射週1回★★★★☆週1回の管理。ウゴービと同成分ですが、最大投与量が異なります。
リベルサス飲み薬毎日★★☆☆☆注射不要。唯一の飲み薬ですが、空腹時の服用ルールを守る必要があります。

※星の数は一般的な臨床データや作用機序に基づく目安であり、効果には個人差があります。
※ウゴービは一部の肥満症に対して保険適用となりますが、美容目的のダイエット(適応外)は自由診療となります。

「注射に抵抗がある」という方にはリベルサス、「効率を重視したい」という方にはマンジャロなど、選択肢は一つではありません。

カウンセリングにて、あなたに合う薬を一緒に選びましょう。

この表からも分かる通り、「毎日の手間はあるが調整しやすいサクセンダ」と「週1回で楽だが強力なマンジャロ」という構図が見て取れます。

費用に関しては、クリニックによって設定が異なりますが、一般的にマンジャロの方が高額になる傾向があります。

特にマンジャロは投与量を段階的に増やしていくため、維持用量(高用量)になると月額のコストが跳ね上がる可能性があります。

「マンジャロ」は効果最強だが副作用も強い?臨床データでの検証

「とにかく痩せたい」という方にとって、マンジャロの効果は非常に魅力的です。

海外の臨床試験(SURMOUNT-1試験)では、マンジャロ(チルゼパチド)を72週間投与した結果、最も用量の多い15mg投与群で平均20.9%もの体重減少が確認されました。

これは、従来の肥満治療薬では考えられなかった驚異的な数値であり、外科手術(胃バイパス手術など)にも匹敵すると言われています。

一方で、効果が強いということは、それだけ体への変化も急激であるということです。

私のクリニックに来院される患者様の中でも、マンジャロを使用した方の多くが「食欲が嘘のようになくなった」と驚かれる一方で、「最初の2日間は吐き気で動けなかった」「食事が喉を通らず、フラフラになった」という副作用の強さを訴えるケースが少なくありません。

特に、GIPとGLP-1の二重作用により、胃腸への影響が強く出ることがあります。

また、急激に体重が落ちることで、皮膚のたるみや筋肉量の減少、さらには一時的な抜け毛(休止期脱毛)といった症状が出ることがあります。

これらは薬の直接作用というより、短期間での大幅な減量に伴う栄養状態の変化によるもので、減量効果が強力なマンジャロでは特に栄養管理に注意が必要です。

「効果最強」という言葉は魅力的ですが、それは「諸刃の剣」である可能性も理解しておく必要があります。

仕事が忙しく、体調不良で休むことが許されない方や、体力に自信がない方は、慎重な判断が求められます。

「サクセンダ」は毎日注射の手間があるが、微調整が可能

サクセンダの最大のネックは「毎日注射しなければならない」という点でしょう。

「毎日なんて面倒くさい」「針を見るのが怖い」と感じる方も多いと思います。

しかし、この「毎日打つ」ということには、実は大きなメリットがあります。

それは、「体調に合わせてその日の投与量を微調整できる」という点です。

サクセンダは、ダイヤル式のペン型注入器を使用するため、0.6mg、1.2mg、1.8mg…と、0.6mg刻みで投与量を調整できます(医師の指示の下、目盛りの中間で微調整することも物理的には可能です)。

例えば、「今日は大事なプレゼンがあるから、吐き気が出ないように少し量を減らそう」とか、「最近効果が薄れてきたから、少しだけ増やしてみよう」といったコントロールが日単位で可能なのです。

これに対し、マンジャロは週に1回使い切りの注射器を使用するため、一度打ってしまったら、その効果(と副作用)は1週間続きます。

もし副作用が強く出ても、薬が体から抜けるのを待つしかありません。

現場でよく聞く「サクセンダで良かった」エピソード

多くの患者様の取材やカウンセリングを行う中で、サクセンダを選んだ方が口を揃えてメリットに挙げるのが、この「イベント時の調整のしやすさ」です。

実際にあった事例として、友人の結婚式を控えていた患者様のエピソードがあります。

「せっかくのフルコース料理を全く食べられないのは悲しいし、周囲に心配されるのも避けたい」

そう相談された医師は、その日の朝だけ注射をお休みする(スキップする)許可を出しました。

サクセンダは半減期(薬の効果が半分になる時間)が約13時間と短いため、朝打たなければ夜には食欲がある程度戻ります。

その患者様は、結婚式の食事を心置きなく楽しみ、翌日からまた通常の投与に戻して、ストレスなくダイエットを継続されました。

このような柔軟な使い方ができるのは、一度打つと1週間効果が続いてしまうマンジャロにはない、毎日投与タイプであるサクセンダならではの強みだと言えます。


「えっ、これだけ?」実は3ステップで完了、自己注射の手順

「自分で注射を打つなんて怖すぎる」と思っていませんか? 実は、慣れてしまえば準備から完了まで1分もかかりません。

極細の針を使用するため、一般的な採血時のような痛みは感じにくく、抵抗感が少ないと感じる方が多いのが特徴です。

簡単な3ステップ手順

STEP
カチカチと回す

ペンのダイヤルを回して、医師から指示された用量(例:0.6mg)に合わせます。

STEP
プチっと刺す

消毒した皮膚に、ペンを垂直に当てて針を刺します(髪の毛ほどの細さです)。

STEP
長押しする

注入ボタンを押し込み、カチカチと音が止まってから6秒数えて抜きます。

打つ場所(注射部位)

基本的には、皮下脂肪がつまめる以下の3箇所です。

  • お腹(腹部): おへそ周りを避けた場所。一番打ちやすく、ポピュラーな部位です。
  • 太もも(大腿部): 太ももの外側など。お腹を見せたくない外出先などで便利です。
  • 二の腕(上腕部): 腕の外側。自分では打ちにくいため、ご家族などに打ってもらう場合に適しています。

【タイプ別診断】あなたにおすすめなのはどっち?

「副作用が心配ですか?」「短期で結果を出したい?」などの簡単な質問にYES/NOで答えていくことで、自分に合ったダイエット注射(サクセンダまたはマンジャロ)が分かる診断フローチャート。

ここまで読んで、「やっぱり迷う」という方のために、タイプ別のおすすめ診断を作成しました。

ご自身の性格、生活スタイル、ダイエットの目標と照らし合わせて、どちらの薬剤がより適しているかを判断するヒントにしてください。

30秒で確認!医療ダイエットが向いているタイプは?

「私の体重で受診してもいいのかな?」「もっと太っている人だけが対象なのでは…」 そのような遠慮は必要ありません。

以下のリストに3つ以上当てはまる方は、医療ダイエットが選択肢の一つになる可能性があります。

▼セルフチェックリスト
  • BMIが23以上ある(体重kg ÷ 身長m ÷ 身長m で計算)
  • 食事制限をしても、ストレスで反動食いをしてしまうことがある
  • 仕事などが忙しく、運動する時間が十分に取れない
  • 健康診断で「血糖値」や「脂質」の数値を指摘されたことがある
  • 意志の力だけに頼るダイエットに限界を感じている
  • イベント等の目標に向けて、計画的に体重管理をしたい

※安全性のための重要な注意点 日本肥満学会のガイドラインや安全性の観点から、妊娠中・授乳中の方、またはBMIが18.5未満(痩せ型)の方などは、原則としてGLP-1受容体作動薬の使用は推奨されません。 母体や胎児への影響、および健康被害のリスクがあるため、必ず医師の診断に従ってください。

マンジャロがおすすめな人(短期集中・コスパ重視・痛みへ強い)

もしあなたが以下の項目に多く当てはまるなら、マンジャロが向いている可能性が高いでしょう。

  • とにかく短期間で大きな結果を出したい: 結婚式やイベントなど、明確な期日があり、そこまでに絶対に痩せたいという強い目標がある。
  • 週1回の手軽さを最優先したい: 毎日の注射は絶対に忘れる自信がある、または忙しくて毎日時間を取るのが億劫だ。
  • 過去に他のダイエットで失敗している: サプリや食事制限はもちろん、他のGLP-1薬(リベルサスやサクセンダ低用量)であまり効果を感じられなかった。
  • ある程度の副作用は覚悟できる: 痩せるためなら多少の吐き気や体調の変化は我慢できる、または仕事の調整が利きやすい。
  • 注射の痛みには比較的強い: マンジャロの針は内蔵型で見えませんが、注入時に薬液が入る独特の刺激を一瞬感じることがあります。

マンジャロは「本気で変わりたい」「後戻りできない環境を作りたい」という、強い決意を持った方に適した強力なオプションです。

サクセンダがおすすめな人(慎重派・副作用不安・毎日習慣化が得意)

一方で、以下の項目に当てはまる方、特に「副作用で仕事に穴を空けたくない」「体調を見ながら慎重に進めたい」という堅実なタイプの方には、サクセンダを強くおすすめします。

  • 副作用がとにかく怖い: 過去に薬で気持ち悪くなった経験があり、日常生活に支障が出るのを極端に恐れている。
  • 自分のペースで進めたい: 体調を見ながら、少しずつ薬の量を増やしていきたい。無理はしたくない。
  • 痛いのは絶対に嫌: サクセンダの針は髪の毛ほどの極細(34Gなど)を選べるため、蚊に刺されるよりも痛みを感じにくいです。
  • 毎日のルーティンが得意: スキンケアやサプリメント摂取など、毎日決まった時間に何かをする習慣づけが苦にならない。
  • リバウンドを防ぎたい: 急激に痩せるよりも、時間をかけて痩せることで、身体への負担を減らし、皮膚のたるみやリバウンドのリスクを抑えたい。

サクセンダは、効果はマイルドかもしれませんが、その分コントロールしやすく、生活の質(QOL)を落とさずにダイエットを継続できるという点で、非常に優れた選択肢です。

尾内 隆志 医師 (精神科専門医) のアドバイス

尾内 医師

性格傾向から見ると、完璧主義で几帳面、そして不安を感じやすい方には、サクセンダをお勧めすることが多いです。
というのも、不安が強い方は『自分でコントロールできている感覚(自己効力感)』を持つことが精神的な安定につながるからです。
『今日は体調が良いから少し増やそう』『明日は忙しいから減らそう』と自分でハンドリングできるサクセンダは、治療への納得感を高め、結果として継続率が高まります。
逆に、細かいことを気にするのが苦手で、一任してしまいたいという大らかなタイプの方は、週1回のマンジャロの方がストレスなく続けられる傾向にあります。


隠さず伝えます。副作用と「打ってはいけない人」のリスク管理

どんなに優れた薬にも、必ずリスクや副作用は存在します。

良いことばかりを並べるクリニックは信用すべきではありません。

ここでは、サクセンダやマンジャロを使用する上で避けては通れない「副作用」の実態と、万が一の際の対処法、そして絶対に使用してはいけないケースについて、包み隠さずお伝えします。

事前にリスクを知り、対策を準備しておくことが、安全なダイエットへの第一歩です。

多くの人が経験する「初期の吐き気・胃のムカムカ」とその対策

ダイエット注射開始初期(1〜2週間)にピークを迎える吐き気などの副作用が、時間の経過とともに体が慣れて軽減していく様子を示したイメージグラフ。

GLP-1受容体作動薬の副作用として最も頻度が高いのが、消化器症状です(臨床試験では数割程度ですが、軽度のものを含めると体感的には半数以上の方が経験されます)。

具体的には、吐き気、嘔吐、胃のムカムカ、下痢、便秘などです。

これは薬の主作用である「胃排泄遅延作用(胃の動きを止める働き)」が強く出過ぎた場合に起こります。

まるで「つわり」のような状態だと表現する患者様も多いです。

しかし、これらの症状は永遠に続くわけではありません。

多くの場合、投与開始から1週間〜2週間程度がピークで、体が薬に慣れるにつれて徐々に治まっていきます。

いつまで続く?副作用(吐き気など)のピークと終わりの目安

副作用の出方には個人差がありますが、永遠に続くわけではありません。

体が薬に慣れるまでの期間を経て、多くの場合は時間の経過とともに落ち着いていきます。

いつ頃楽になるのか、一般的な目安を知っておくだけで心の余裕が変わります。

▼副作用の感じ方 時系列イメージ(個人差があります)
  • 開始〜3日目【ピーク】 胃が重い、むかむかする感覚が出やすい時期です。無理せず消化の良いものを食べましょう。
  • 1週間後【軽減傾向】 少しずつ体が慣れてくる時期です。食欲は抑制されていますが、不快感は和らいでくる傾向にあります。
  • 2週間〜4週間後【安定】 副作用は気にならなくなり、「少量で満足できる」という状態が定着しやすくなります。

※薬の量を増やしたタイミング(増量時)には、再度一時的に症状が出ることがありますが、これも数日で落ち着くことが一般的です。

この「慣らし期間」をどう乗り越えるかが、治療継続の鍵となります。

医療現場で推奨される「吐き気対策」の食事術

治療を開始して数日経つと、「常に胃に食べ物が残っているような重さを感じる」と訴える患者様が少なくありません。

この時期を乗り越えるために、多くのクリニックで指導され、実際に効果を上げているのが「分食(ぶんしょく)」という方法です。

具体的には、1回の食事量をいつもの半分以下に減らし、その分、食事の回数を1日5回〜6回に増やすのです。

胃の中に一度に大量の食べ物が入るのを防ぐことで、ムカムカ感を大幅に軽減できます。

また、食事の内容も重要です。胃排泄が遅くなっているため、消化に時間のかかる「脂っこいもの」や「硬い食物繊維(ゴボウやキノコなど)」は避け、おかゆやうどん、ヨーグルト、プロテインなど、消化の良いものを中心に摂取することが推奨されています。

その他、患者様の実践例として「氷を口に含む」や「無糖の炭酸水を少しずつ飲む」といった工夫も、口の中がスッキリして吐き気を紛らわせるのに有効だと報告されています。

コンビニで買える!胃の不快感がある時のおすすめメニュー

治療初期などで胃の動きがゆっくりになっている時は、消化に負担をかけない食事が大切です。

「何を食べればいいかわからない」と迷った時のために、コンビニやスーパーで買えるおすすめメニューをまとめました。

▼◯ おすすめのメニュー(消化に良いもの)
  • 主食: おかゆ、雑炊、柔らかく煮たうどん、蒸しパン
  • タンパク質: 豆腐、茶碗蒸し、サラダチキン(プレーン)、半熟卵、白身魚
  • その他: ウィダーインゼリー等のゼリー飲料、ヨーグルト、バナナ、野菜スープ
▼✕ 避けるべきメニュー(消化に時間がかかるもの)
  • 脂っこいもの: 唐揚げ、天ぷら、ラーメン、カレーライス、生クリームたっぷりのスイーツ
  • 繊維質の多いもの: ゴボウ、レンコン、キノコ類、海藻類、生のキャベツ
  • 刺激物: 激辛料理、炭酸飲料(※少量の無糖炭酸水はスッキリすることもありますが、飲み過ぎは胃を張らせる原因になります)

辛い時期は無理に栄養バランスを完璧にしようとせず、「食べられるものを少しずつ」摂るようにしましょう。

重篤なリスク(低血糖、急性膵炎)の初期症状と対処法

頻度は稀ですが、知っておかなければならない重篤な副作用があります。

それが「低血糖」と「急性膵炎(すいえん)」、そして「腸閉塞(ちょうへいそく)」です。

低血糖は、血液中の糖分が極端に少なくなってしまう状態です。

通常、GLP-1受容体作動薬は血糖値が高いときだけインスリンを出すため、単独使用で低血糖になるリスクは低いとされていますが、過度な糖質制限や激しい運動、空腹時のアルコール摂取などが重なると起こることがあります。

冷や汗、動悸、手足の震え、強い空腹感、脱力感などが初期症状です。

もしこれらの症状が出たら、すぐにブドウ糖や甘いジュースを摂取してください。

急性膵炎は、膵臓に急激な炎症が起こる病気です。

激しい腹痛(みぞおちから背中にかけて突き抜けるような痛み)、嘔吐、発熱などが特徴です。

この痛みは、体を丸めると少し楽になることがありますが、基本的には我慢できないほどの激痛です。

腸閉塞は、腸の動きが止まってしまうことで起こります。

激しい腹痛、便秘、お腹の張り、嘔吐が見られます。

危険なサイン

以下の症状が出た場合は、直ちに薬の使用を中止し、救急医療機関を受診してください。

  • 我慢できないほどの激しい腹痛(特に背中まで響く痛み)
  • 意識が遠のくような感覚、けいれん
  • 持続する激しい嘔吐で水分も摂れない状態

精神面への影響は?「気分の落ち込み」や「うつ」の可能性について

身体的な副作用だけでなく、メンタル面への影響についても理解しておく必要があります。

GLP-1受容体作動薬の使用中に、稀に「気分の落ち込み」や「イライラ」を訴える方がいらっしゃいます。 

公的な調査では薬との直接的な因果関係は明確ではありませんが、急激な血糖変動や栄養不足、食生活の変化によるストレスなどが要因として考えられます。

一つは、急激な血糖変動や栄養不足による自律神経の乱れです。

もう一つは、「食べる楽しみ」が奪われることによる喪失感です。

今までストレス発散を「食」に依存していた方の場合、薬によって食欲がなくなると、ストレスの逃げ場を失い、一時的に抑うつ状態になることがあります。

これは薬の直接的な副作用というよりは、生活の変化に伴う反応と言えます。

尾内 隆志 医師 (精神科専門医) の解説

尾内 医師

ダイエットとうつは、実は密接な関係があります。
栄養不足、特に糖質やタンパク質が不足すると、脳内のセロトニン(幸せホルモン)の材料が足りなくなり、メンタルが不安定になりやすくなります。
また、食べることは原始的な快楽であり、それが突然遮断されることは脳にとってストレスとなり得ます。
当院では、単に薬を処方するだけでなく、食事以外のストレス解消法(運動、入浴、趣味など)を見つけるサポートや、必要に応じて漢方薬などの処方も併用し、メンタルを守りながらのダイエットを指導しています。
もし薬を使い始めてから『わけもなく悲しい』『やる気が起きない』と感じたら、決して我慢せずに相談してください。

そもそも治療を受けられない人(禁忌事項チェックリスト)

安全のため、以下に該当する方はサクセンダやマンジャロを使用できません(禁忌)、または慎重な判断が必要です。

必ず医師に申告してください。

  • 本人または家族に甲状腺髄様癌(こうじょうせんずいようがん)の既往がある方
  • 多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の患者様または家族歴がある方
  • 重度の胃腸障害(胃不全麻痺など)がある方
  • 膵炎の既往がある方
  • 妊娠中、授乳中、または妊娠を希望している方
  • 本剤の成分に対し過敏症(アレルギー)の既往がある方
  • 18歳未満の方(慎重投与)、70歳以上の高齢者(慎重投与)
  • 極端にBMIが低い方(痩せ型の方の美容目的使用は推奨されません)

失敗したくない人へ。治療終了後のリバウンドとメンタルケア

「薬をやめたら、すぐ元に戻るんじゃないの?」

これは最も多い質問の一つであり、最も重要なテーマです。

結論から申し上げますと、薬をやめれば食欲は戻ります。そして、何の対策もしなければ体重も戻ります(リバウンドします)。

しかし、絶望する必要はありません。

薬を使っている期間を「単に痩せる期間」とするのではなく、「脳と体をリセットする期間」として活用することで、リバウンドのリスクを最小限に抑えることは可能です。

なぜリバウンドするのか?「脳のセットポイント」を理解する

なぜリバウンドするのか?「脳のセットポイント」を理解するためのイラスト

人間の脳には、現在の体重を維持しようとする恒常性(ホメオスタシス)という機能が備わっています。

脳が記憶している「いつもの体重」をセットポイントと呼びます。

長年太っていた方の場合、脳のセットポイントが高めに設定されてしまっています。

薬を使って急激に体重を落としても、脳はそれを「飢餓状態(生命の危機)」と判断し、必死に元の体重(高いセットポイント)に戻そうとします。

これがリバウンドの正体です。

食欲を増進させ、代謝を落とし、エネルギーを溜め込もうとするのです。

薬をやめた瞬間にこの反動が来るため、準備なしにやめると一気にリバウンドしてしまうのです。

薬に頼らず体重を維持するための「思考の癖」の直し方

リバウンドを防ぐためには、薬を使用している間に、新しい体重を脳に「新しいセットポイント」として認識させる必要があります。

そのためには、ある程度の期間(少なくとも半年〜1年以上 ※個人差あり)、減量した体重を維持し続けることが重要です。

そして何より、食に対する「認知(考え方)」を変えることが不可欠です。

「お皿に残してはいけない」「ストレスが溜まったら甘いもの」といった思考の癖(自動思考)に気づき、修正していくこと。

これが認知行動療法的なアプローチです。

尾内 隆志 医師 (精神科専門医) のアドバイス

尾内 医師

薬が効いている間は、少ない食事量で満足できる状態を『体感』できる貴重なチャンスです。
この期間に、『本来の自分に必要な食事量はこれくらいなんだ』という感覚を脳と体に覚え込ませてください。
また、食事日記をつけることも有効です。
『いつ、どこで、どんな気分の時に食べたくなったか』を記録することで、自分の過食のトリガー(引き金)が見えてきます。
例えば、『仕事で怒られた夜に過食している』と気づけば、食べる以外のストレス対処法を用意することで、薬終了後のリバウンドを防ぐことができます。
これこそが、一生モノの『痩せる思考』を手に入れるプロセスです。

卒業のタイミングは?徐々に薬を減らす「テーパリング」の重要性

目標体重に達したからといって、その翌日からスパッと薬をゼロにするのは危険です。

急激な変化は、脳の反発(リバウンド)を招きます。

おすすめなのは、「テーパリング(漸減法)」という方法です。

これは、徐々に薬の量や頻度を減らしていくやり方です。

サクセンダであれば、1.8mg打っていたのを1.2mgにし、0.6mgにし、さらに1日おきにする…といった具合です。

マンジャロであれば、投与間隔を1週間から10日、2週間へと延ばしていきます。

このように時間をかけて「薬のない状態」に体を慣らしていくことで、食欲の急激なリバウンドを防ぎ、ソフトランディングで治療を卒業することができます。

医師と相談しながら、数ヶ月かけて焦らずに出口戦略を立てることが成功の秘訣です。


適正価格を知ろう:GLP-1ダイエットの費用相場

クリニック選びで失敗しないためには、「適正な価格設定か」を見極めることが重要です。

自由診療のため価格はクリニックによって異なりますが、極端に安すぎる場合や、逆に高額すぎる場合には注意が必要です。

▼1ヶ月あたりの費用目安(薬剤代)

スクロールできます
薬剤名費用相場(税込)備考
サクセンダ20,000円 〜 40,000円毎日投与のため、本数によって変動します
マンジャロ25,000円 〜 60,000円投与量が増えると価格が上がる傾向があります
リベルサス10,000円 〜 25,000円飲み薬のため比較的安価な設定が多いです
ウゴービ20,000円 〜 50,000円自由診療の場合の目安です

※注意:「診察料」や「採血代」が含まれているか確認を

表示価格が安くても、「診察料」「針代」「送料」「管理費」などが別途請求され、総額が高くなるケースがあります。

受診前に「トータルでいくらかかるのか」を確認することをおすすめします。

医師が答える!ダイエット注射のFAQ

最後に、診察室でよく患者様からいただく質問に、一問一答形式でお答えします。

自分で注射するのは怖くないですか?痛みは?

初めての方は皆様怖がられますが、実際に打ってみると「えっ、もう終わり?」「全然痛くなかった」と拍子抜けされる方がほとんどです。

使用する針は、採血や予防接種の針とは全く別物で、髪の毛ほどの細さ(0.2mm程度)しかありません。

痛点(痛みを感じる点)に当たりにくく、出血もほとんどありません。

お腹や太ももの皮下脂肪をつまんで打つため、痛みは蚊に刺された程度か、それ以下です。

当院では初回に必ず医師か看護師が打ち方を指導し、目の前で練習していただきますのでご安心ください。

インスリン注射とは違うのですか?糖尿病になりませんか?

使用するペン型注入器の形状はインスリン注射と似ていますが、中身の成分は全く異なります。

インスリンは血糖値を下げるホルモンそのものですが、GLP-1はインスリンを出しやすくするホルモンです。

健康な人が打っても、血糖値が下がった時(正常な時)にはそれ以上インスリンを出さないように働くため、糖尿病になることはありませんし、逆に膵臓を休ませる効果があるとも言われています。

ただし、既に糖尿病の治療を受けている方は、主治医との相談が必須です。

個人輸入や通販で買っても大丈夫ですか?

絶対にやめてください。

近年、SNSや通販サイトで海外製のGLP-1製剤が出回っていますが、非常に危険です。

輸送過程での温度管理(GLP-1は冷蔵保存が必須)が不適切なために成分が変質していたり、中身が偽物であったり、最悪の場合、不純物が混入していて重篤な健康被害を引き起こすケースも報告されています。

また、万が一副作用が起きた場合でも、正規の医療機関を経ていない場合は「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となり、何の補償も受けられません。

命に関わることですので、必ず日本の医療機関で処方を受けてください。

医薬品の個人輸入に関する注意喚起
厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)からも、個人輸入されたGLP-1受容体作動薬に関する注意喚起がなされています。
医師の診察なしに自己判断で使用することは、予期せぬ副作用のリスクを高めます。

旅行に持っていける?冷蔵庫に入れるべき?

ダイエットは継続が大切ですので、旅行や出張にもお薬を持っていくケースがあります。

サクセンダとマンジャロは温度管理が重要ですので、以下のルールを覚えておきましょう。

冷蔵庫に入れないとダメですか?

「未使用」と「使用中」で異なります。

  • 未使用(新品): 必ず冷蔵庫(2〜8℃)で保管してください。凍結すると品質が変わってしまうため、冷気の吹き出し口付近は避けてください。
  • 使用中(開封後): 室温(30℃以下)での保存が可能です。もちろん冷蔵庫でもOKですが、直射日光の当たる場所や真夏の車内には絶対に放置しないでください。

飛行機に乗る時はどうすればいいですか?

必ず「手荷物」として機内に持ち込んでください。

預け入れ荷物(スーツケース)に入れてしまうと、貨物室の温度変化により薬が凍結したり、破損したりする恐れがあります。

妊娠中や授乳中でも使えますか?

使用できません。

妊娠中や授乳中の安全性は確立されておらず、胎児や乳児への影響(催奇形性や低血糖など)が懸念されるため、禁忌となっています。

妊活中の方も、妊娠の可能性がある場合は使用を控えてください。

治療中に妊娠が発覚した場合は、直ちに使用を中止し、医師に相談してください。


後悔しないために:信頼できるクリニックを選ぶ5つのポイント

GLP-1ダイエットは医療行為です。 「値段が安いから」「SNSで見たから」という理由だけで選ぶのではなく、以下のポイントをチェックして、安全に治療を受けられる医療機関を選びましょう。

▼クリニック選びのチェックリスト
  1. 副作用の説明があるか メリットだけでなく、リスクや副作用についても隠さず説明してくれる医師を選びましょう。
  2. 血液検査を行っているか 安全のため、定期的な血液検査(特に膵臓や肝臓の数値確認)を推奨しているクリニックが安心です。
  3. 料金体系が明確か 解約金や、不透明な追加オプションへの勧誘がないか確認しましょう。
  4. 医師・スタッフの対応 体調不良時やトラブルがあった際に、すぐに相談できる窓口や体制が整っているかが重要です。
  5. 「絶対に痩せる」など断定的な表現をしていないか 医療に「絶対」はありません。誇大広告を行っているクリニックは避けたほうが無難です。

まとめ:脳科学に基づいた選択で、無理なく理想の自分へ

ここまで、サクセンダとマンジャロの違い、そして精神科医の視点から見た安全性とメンタルケアについて解説してきました。

▼クリニック選びと薬剤選択の最終チェックリスト

チェック項目ポイント
自分の性格は?□ 慎重派・不安が強い → サクセンダ
□ 短期集中・決断力がある → マンジャロ
ライフスタイルは?□ 毎日のルーティンが得意 → サクセンダ
□ 忙しくて毎日時間は取れない → マンジャロ
リスク許容度は?□ 副作用が出たらすぐ調整したい → サクセンダ
□ 効果のためなら多少の辛さは耐える → マンジャロ
クリニック選び副作用のリスクを隠さず説明してくれるか?
精神面のサポート(メンタルケア)はあるか?
アフターフォロー(卒業後の指導)が明確か?
料金体系は明朗か(追加料金がないか)?

サクセンダもマンジャロも、単なる「魔法の痩せ薬」ではありません。

あなたの脳の食欲コントロール機能を正常化し、ダイエットを成功へと導くための「医療ツール」です。

しかし、ツールは使い手と指導者次第で、毒にも薬にもなります。

副作用のリスクはゼロではありませんが、正しく理解し、信頼できる医師の管理下で自身の体質に合わせて使用すれば、これほど心強い味方はありません。

「もうダイエットで悩みたくない」「副作用が怖くて一歩踏み出せない」

そんな方こそ、まずは専門医に相談してください。

あなたの体質、性格、そして心の状態に寄り添い、最適な一本を一緒に見つけましょう。

監修医師よりメッセージ

尾内 医師

GLP-1受容体作動薬は、肥満治療における一つの選択肢として医学的に注目されています。 しかし、単に薬を使えば良いというものではなく、ご自身の体質やライフスタイル、そして心の状態に合わせて慎重に選択する必要があります。 インターネット上には様々な情報が溢れていますが、安易な個人輸入などは避け、必ず信頼できる医療機関で医師の指導のもと、安全に治療を進めていただくことを強く願っております。


参考リンク

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