結論から申し上げますと、最新のホールICL手術そのものが、将来の緑内障リスクを大幅に高める確率は極めて低いです。
しかし「強度近視」自体が緑内障のハイリスク群であるため、正しい原因の切り分けが不可欠です。
この記事では、ICL手術を検討しているものの、将来の失明や緑内障に対する強い不安を抱えている方に向けて、客観的なデータと精神医学的なアプローチから解決策を提示します。
- ICL手術と緑内障発症の確率・メカニズムに関する客観的データ
- 知恵袋の「将来失明する」という声の正体と、強度近視が抱える本当のリスク
- 精神科専門医が教える、手術への過度な不安やネットのネガティブ情報との向き合い方
【結論】ICL手術で将来緑内障になる確率は高いのか?
このセクションでは、ICL手術自体が将来の緑内障を引き起こす確率と、そのメカニズムについて解説します。
手術を検討する上で最も気になる「正確な確率」と、なぜ現在は安全性が高いと言えるのか、その理由を深く掘り下げていきます。
尾内医師 (精神科専門医) のアドバイス
尾内 医師医療において『100%安全』は存在しないため、1%未満という確率であっても、患者様が心理的な過剰反応を起こし、強い不安感に苛まれることは珍しくありません。
客観的な医療データを冷静に受け止めるためには、まず『ゼロリスクを求めすぎない』という心の準備が大切です。
不安が強い場合は、一人で抱え込まずに専門医に相談し、サポート体制を構築することが重要です。
手術自体が原因となる「眼圧上昇」の確率と客観的データ
ICL手術(眼内コンタクトレンズ挿入術)を受けることで、直接的に将来の緑内障リスクが高まる確率は、現在の医療技術においては非常に低く抑えられています。
緑内障の主な原因の一つは、眼球内の圧力である「眼圧」が上昇し、視神経を圧迫することです。
内眼手術である以上、リスクが完全にゼロになるわけではありませんが、過度な心配は不要と言えるデータが揃っています。
日本眼科学会が定める「屈折矯正手術のガイドライン」においても、ICLは安全性の高い治療法として位置づけられています。
また、レンズ製造元であるSTAAR Surgical社の臨床データによれば、最新のレンズを用いた場合、将来的な失明の原因となる「瞳孔ブロック等による慢性・重篤な緑内障」が起こる確率は1%未満(データ上は事実上0%)と報告されています。
ただし、手術当日の数時間に限っては、眼の内皮細胞を保護するゼリー状の薬剤(粘弾性物質)のわずかな取り残しが原因で、一時的な眼圧上昇が約20%の方に起こり、点眼や排液処置を要することがあります。
これは一過性の現象であり、処置によって翌日には正常化するため、将来の緑内障リスクとは無関係ですが、事前に起こり得るプロセスとして知っておくことが安心に繋がります。
このように、客観的なデータに基づき「手術直後の一時的な反応」と「将来の失明リスク」を分けて考えれば、手術自体が原因で失明に至るような深刻なトラブルは極めて稀であることがわかります。
なぜ「リスクが高い」と言われるのか?旧型レンズの課題
現在のデータが安全であることを示しているにもかかわらず、なぜインターネット上では「ICLは緑内障のリスクが高い」といった情報が散見されるのでしょうか。
その理由は、過去に使用されていた「旧型レンズ」の構造的な課題にあります。
人間の眼の中には、角膜と水晶体の間を満たしている「房水(ぼうすい)」という透明な液体が存在します。
この房水は、眼の中で常に作られ、排出されることで一定の眼圧を保つ役割を担っています。
しかし、穴の開いていない旧型のICLレンズを挿入した場合、この房水の循環がレンズによって物理的に妨げられてしまうことがありました。
房水の流れが滞ると、眼球内に液体が溜まり、結果として眼圧上昇を引き起こす原因となっていました。
これが医原性の緑内障(手術などの医療行為が原因で起こる緑内障)のリスクとして懸念されていたのです。
また、房水の流れが悪くなることで、水晶体に栄養が十分に行き渡らなくなり、白内障の発症リスクが高まるという問題も抱えていました。
これらの過去の事実が、現在でも「ICL=リスクが高い」という誤解を生む要因となっています。
現在主流の「ホールICL」が緑内障リスクを低減させたメカニズム
旧型レンズが抱えていたこれらの課題を劇的に解決したのが、現在主流となっている「ホールICL(穴あきレンズ)」です。
ホールICLの最大の特徴は、レンズの中心部に極小の穴が開けられていることです。
この小さな穴があることで、レンズを挿入した後でも、房水の循環が自然な状態に近いまま保たれます。


毛様体で房水が作られる → 水晶体と虹彩の間を通る → ※レンズが壁となり流れが滞る → 眼圧上昇のリスク
毛様体で房水が作られる → 水晶体と虹彩の間を通る → レンズ中央の「極小の穴」を房水がスムーズに通り抜ける → シュレム管から排出される → 自然な眼圧が維持される
房水が滞りなく流れるようになったことで、眼圧上昇による緑内障発症リスクは過去に比べて劇的に低下しました。
同時に、水晶体への栄養供給も妨げられないため、白内障の発症リスクも大幅に軽減されています。
つまり、知恵袋などで見かける「緑内障になる確率が高い」という不安の声の多くは、このホールICLが普及する前の古い情報や知識に基づいている可能性が高いのです。
現代の医療では、レンズの構造自体が進化し、致命的なリスクを回避する仕組みが確立されていることを知っておきましょう。
知っておくべき真実:「強度近視」そのものが持つ緑内障リスク
このセクションでは、ICL手術の有無に関わらず、読者の皆様が元々抱えている「強度近視」という状態そのものが持つリスクについて解説します。
手術への不安を解消するためには、この「不都合な真実」から目を背けず、正しいメカニズムを理解することが不可欠です。
眼軸長(がんじくちょう)が伸びることによる視神経への負担
そもそも「近視」とは、眼球の奥行きの長さである「眼軸長(がんじくちょう)」が正常よりも伸びてしまう状態(軸性近視)を指すことがほとんどです。
特に度数が強い強度近視(一般的に屈折度数が-6.0Dを超える状態)の場合、眼球はラグビーボールのように前後に長く引き伸ばされています。
眼球が引き伸ばされると、眼球の奥にある網膜や視神経も同時に強く引っ張られ、薄く脆い状態になります。


その結果、視神経の根本である「視神経乳頭」の形が変形しやすくなり、わずかな眼圧の変化でもダメージを受けやすくなってしまうのです。
日本緑内障学会のデータなどでも、強度近視は緑内障を発症する独立した重大な危険因子であることが明確に示されています。
つまり、将来緑内障になるリスクを高めている一番の要因は「ICL手術を受けたから」ではなく、「元々強い近視であるから」という事実を正しく切り分けて理解する必要があります。
ICLで「視力」は回復しても「眼球の形状」は戻らない理由
ICL手術は、眼の中にレンズを挿入することでピントを合わせ、裸眼での視力回復を実現する素晴らしい技術です。
しかし、ここで絶対に誤解してはいけない重要なポイントがあります。
それは、ICL手術はあくまで「光の屈折を補正する」だけであり、伸びてしまった眼軸長を元の長さに戻す手術ではない、ということです。
手術を受けて視力が1.2に回復し、分厚いメガネやコンタクトレンズから解放されたとしても、眼球の形状自体は強度近視のままです。
したがって、引き伸ばされた網膜や視神経の脆弱さが手術によって治るわけではありません。
視界がクリアになったことで「自分の目は完全に健康になった」と錯覚してしまいがちですが、強度近視という状態が引き起こす様々な眼疾患(緑内障や網膜剥離など)のリスクは、手術前と変わらずに存在し続けるのです。
手術の有無にかかわらず、強度近視の方に「定期検診」が必須な理由
上記のような理由から、強度近視の方は、ICL手術を受けるかどうかにかかわらず、眼科での定期検診が絶対に欠かせません。
緑内障は、初期から中期にかけて自覚症状がほとんどなく、視野の欠損に気づいた時にはすでに症状がかなり進行してしまっているという恐ろしい特徴があります。
「視力が良いから眼科に行く必要はない」という油断が、将来の失明リスクを最も高める要因となります。
ICL手術後も、半年に1回、あるいは最低でも1年に1回は必ず眼科を受診し、眼圧検査や眼底検査、視野検査を受けることが推奨されます。
早期発見さえできれば、点眼薬などによる適切な治療で進行を食い止め、生涯にわたって視機能を維持することは十分に可能です。
尾内医師のアドバイス



『自分は緑内障になるかもしれない』というリスクをゼロにできないという事実は、誰にとっても受け入れがたく、強いストレスを感じるものです。
しかし、漠然とした不安感から逃げずに『定期検診に通えば最悪の事態は防げる』という具体的なコントロール感を持つことが、精神的な安定に繋がります。
不安を抱えたまま放置するのではなく、予防行動という具体的なアクションを起こすことが、心のケアにおいても非常に有効です。
知恵袋の「将来失明する」「やめとけ」という声の正体
このセクションでは、インターネット上の掲示板や知恵袋などでよく見かける極端なネガティブ情報の正体と、その見極め方について解説します。
不安な気持ちからネット検索が止まらなくなっている方に向け、正しい情報リテラシーを提供します。
私が医療ライターとして活動する中で、ネットの不確かな情報でパニックになっていた患者様にお会いしたことがあります。
その方は「知恵袋でICLをすると10年後に失明すると書いてあった」と酷い抑うつ状態に陥っていました。
そこで、その情報が誰によって書かれたものなのか、医学的な根拠(エビデンス)は提示されているのかを一緒に確認したところ、単なる素人の憶測や、全く関係のない別の眼科手術との混同であることが判明し、深く安堵されていました。
このように、情報の出所を冷静に確認するだけでも、過度な不安は大きく和らぐのです。
匿名掲示板で極端なネガティブ情報が目立つ理由(ネガティビティバイアス)
知恵袋などの匿名掲示板で「やめとけ」「後悔した」といったネガティブな声ばかりが目立って見えるのには、心理学的な理由があります。
人間は、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に強く反応し、記憶に残りやすいという「ネガティビティバイアス」という心理的傾向を持っています。
これは、危険から身を守るための生存本能として備わっているものです。
さらに、手術が成功して快適な生活を送っている大多数の人は、わざわざネット上の掲示板に「大成功でした!」と書き込むモチベーションがあまりありません。
彼らはすでに悩みを解決し、日常の生活に戻っているからです。


一方で、何らかの不満を持った人や、極端な不安を抱えている少数の人は、感情を吐き出す場所として匿名掲示板を利用する傾向が強くなります。
そのため、ネット上では実際の発生確率とは無関係に、ネガティブな意見が過剰に増幅されて見えてしまうのです。
手術後10年・20年経過した方の実際の声と満足度データ
では、実際にICL手術を受けて長期間が経過した方々の真の評価はどうなのでしょうか。
様々なクリニックが独自に行っているアンケート調査や、学術的な追跡調査のデータを見ると、ICL手術の術後満足度は極めて高い傾向にあります。
「朝起きてすぐに時計の文字が見える感動」「災害時にメガネを探す不安がなくなった」「コンタクトレンズによるドライアイから解放された」など、QOL(生活の質)の向上を実感している声が圧倒的多数を占めます。
もちろん、加齢に伴って老眼が始まったり、ごく一部でハロー・グレア(光の輪や眩しさ)が気になるといったマイナスの声も存在します。
しかし、「手術をしたせいで緑内障になり失明した」というような、知恵袋で囁かれるような極端で悲惨なケースは、医学的データに基づいた追跡調査ではまず見られません。
声の大きい少数のネガティブな意見に振り回されず、多数派の事実を見る冷静さが必要です。
信頼できる情報とノイズを見極めるための3つのポイント
ネット上の情報に振り回されず、正しい決断をするためには、以下の3つのポイントで情報の質を見極めることが大切です。
- 誰が発信している情報か?
匿名の素人ではなく、眼科専門医や医療機関、学会が発信している公式な情報であるかを確認しましょう。 - 客観的なデータ(数字)が示されているか?
「リスクが高い」「危険だ」という感情的な言葉だけでなく、それが「何パーセントの確率なのか」「どのような調査に基づくのか」という根拠を探してください。 - メリットとデメリットの両方が書かれているか?
良いことしか書いていないサイトも、逆に恐怖を煽るだけのサイトも、どちらも信頼性に欠けます。リスクとベネフィットを公平に比較している情報源を選びましょう。
🔗 あわせて読みたい:ICLはやめたほうがいい?後悔・失敗の理由と回避策
手術への極度な不安や恐怖心とどう向き合うべきか?【精神科専門医監修】
このセクションでは、ICLという眼球への手術に対する根源的な「恐怖心」や、将来への漠然とした不安に対して、精神医学的なアプローチから対処法を解説します。
尾内医師のアドバイス



まだ起きていない未来のネガティブな出来事を想像し、強い恐怖を感じる状態を『予期不安』と呼びます。
この予期不安は、自律神経のバランスを崩し、不眠やパニック発作の引き金になることもあります。
不安を完全に消し去ろうとするのではなく、『不安を感じるのは人間として当然の防衛反応だ』と自分自身を認めてあげることが、認知行動療法の第一歩となります。
ネット検索が止まらなくなり、不安が増幅する「サイバー心気症」とは
少しでも不安を感じると、スマートフォンで一日中「ICL 失敗」「ICL 失明」といったネガティブなキーワードで検索し続けてしまうことはありませんか?
このように、インターネットで医療情報を過剰に検索し、かえって自分の健康に対する不安や恐怖を深刻化させてしまう状態を「サイバー心気症(サイバーコンドリア)」と呼びます。
検索すればするほど、極端な失敗例や稀な合併症の情報ばかりが目に飛び込んでくるため、「自分もそうなるに違いない」という思い込みが強固になってしまいます。
これは、メンタルヘルスにおいて非常に危険なサインです。
情報収集が目的ではなく、不安を解消するための安心材料を探しているはずが、逆にストレスを増幅させる結果を招いていることに気づく必要があります。
「もしも…」の不安で眠れない・決断できない時の対処法
「もしも手術中に動いてしまったらどうしよう」「もしも10年後に後悔したらどうしよう」といった不安が頭を巡り、夜も眠れなくなってしまった場合の具体的な対処法をご紹介します。
まずは、情報収集の時間を区切ることです。
「夜寝る前の1時間はスマホで医療情報を検索しない」といった明確なルールを設け、脳をクールダウンさせる時間を作りましょう。
睡眠障害は抑うつ状態を悪化させる最大の要因となります。
次に、頭の中にある不安をすべて紙に書き出してみる「ジャーナリング」も有効です。
漠然とした恐怖を言語化し、可視化することで、「自分が何に対してどれくらい恐れているのか」を客観的に整理することができます。
紙に書き出した不安に対し、「それは本当に起こる確率が高いのか?」「起きた場合にどう対処すればいいのか?」と論理的に自問自答することで、過度な感情の波を落ち着かせることができます。
眼科医のカウンセリングで「すべての不安」を打ち明けることの重要性
精神的な不安を解消する最も確実で手っ取り早い方法は、専門医との直接の対話です。
ICLの適応検査や事前のカウンセリングの際に、ネットで見て不安に感じたこと、知恵袋に書いてあった極端な噂などを、恥ずかしがらずにすべて眼科医にぶつけてみてください。
経験豊富な専門医であれば、患者が抱く恐怖心を熟知しています。
「そんなことはあり得ません」と一笑に付すのではなく、あなたの不安に寄り添いながら、最新の医学的データに基づいた論理的な説明をしてくれるはずです。
もし、質問に対して面倒くさそうに対応されたり、メリットばかりを強調してデメリットを隠そうとするような医師であれば、そのクリニックでの手術は見送るべきです。
心の底から納得し、医師との間に確かな信頼関係(サポート体制)が築けたと感じた時に初めて、手術の決断を下せばよいのです。
後悔しないために:リスクを最小限に抑える行動リスト
このセクションでは、不安を乗り越えてICL手術を前向きに検討し始めた方が、実際にリスクを最小限に抑えるために取るべき具体的な行動を簡潔に解説します。
実績・症例数が豊富で「デメリットも語る」クリニックを選ぶ
クリニック選びは、手術の成功と術後の安心感を左右する最も重要な要素です。
費用が極端に安いといった理由だけで選ぶのは非常に危険です。
必ず、ICLの認定医やエキスパートインストラクターが在籍し、これまでの執刀件数(症例数)が豊富であることを確認してください。
また、公式ウェブサイトや無料カウンセリングの場で、感染症のリスク、ハロー・グレアの発生率、角膜内皮細胞の減少リスクなど、手術の「デメリットや限界」についてもしっかりと包み隠さず説明している誠実なクリニックを選びましょう。
適応検査で確認すべき「自分の眼の前房深度とリスク」
適応検査では、近視の度数だけでなく、あなたの眼球がICLレンズを安全に収められるスペースを持っているかを厳密に測定します。
特に重要なのが、角膜と水晶体の間の空間の深さを示す「前房深度(ぜんぼうしんど)」です。
前房深度が浅すぎる場合、レンズが他の組織と干渉しやすく、眼圧上昇や白内障のリスクが高まるため、手術の適応外(手術不可)と判断されることがあります。
検査結果を聞く際は、単に「手術できますよ」という結論だけでなく、ご自身の眼の状態がどの程度の余裕を持っているのか、個別具体的なリスクについても必ず質問してください。
| 確認項目 | 質問の例 | 理由・目的 |
|---|---|---|
| 前房深度の余裕 | 「私の前房深度は、レンズを入れても十分に余裕がある広さでしょうか?」 | 眼内のスペース不足による合併症リスクを回避するため。 |
| 角膜内皮細胞の数 | 「現在の角膜内皮細胞の数は、年齢の平均と比べて問題ないでしょうか?」 | 手術のダメージによる細胞減少のベースラインを知るため。 |
| 緑内障の兆候 | 「現時点で、視神経の変形など緑内障の初期兆候は見られませんか?」 | 強度近視特有のリスクがすでに顕在化していないか確認するため。 |
| 万が一の対応 | 「もし術後に眼圧が上がってしまった場合、具体的にどのような処置をしますか?」 | トラブル発生時のクリニックのサポート体制を確認するため。 |
🔗 あわせて読みたい:ICLはやめたほうがいい?後悔・失敗の理由と回避策
ICL手術のリスク・将来に関するよくある質問 (FAQ)
ここでは、本文で触れきれなかった、ICL手術の将来に関する細かな疑問に直接お答えします。
ICL手術後、将来白内障になったらレンズはどうなりますか?
ICLは目の中にレンズを入れたまま一生を過ごすことが想定されていますが、加齢によって白内障が進行し、白内障手術が必要になった場合は、ICLレンズを取り出す必要があります。
白内障手術の際に、白濁した水晶体の代わりに「眼内レンズ(IOL)」という別のレンズを挿入するため、このIOLに近視の矯正度数を含ませることで、引き続き良好な視力を保つことが可能です。
つまり、将来白内障になっても治療の妨げになることはありません。
ハロー・グレア(光の輪)はずっと続くのでしょうか?
暗い場所で強い光源(夜間の車のヘッドライトなど)を見た際に、光の周りに輪がかかって見えたり(ハロー)、光が滲んで眩しく見えたりする(グレア)現象は、ICL手術後に多くの方が経験します。
これはレンズの構造上生じる光学的な現象ですが、ほとんどの場合、人間の脳の適応能力により、術後数ヶ月から半年程度で気にならないレベルに落ち着いていきます。
ただし、全くゼロになるわけではないため、夜間の長距離運転を職業とする方などは事前の慎重な検討が必要です。
万が一、目に合わなかった場合、レンズを取り出すリスクは?
尾内医師 (精神科専門医) の補足



レーシックのように角膜を不可逆的に削ってしまう手術と違い、ICLは『万が一の時はレンズを取り出して元の状態に戻せる(可逆性がある)』という特徴を持っています。この『後戻りができる』という事実は、患者様にとって非常に大きな心理的安心感(セーフティネット)として機能し、決断の際の重圧を和らげる効果があります。
レンズを取り出す再手術は技術的には可能であり、日常的に行われている手技です。
しかし、眼球に再びメスを入れる(内眼手術を行う)ことになるため、感染症リスクや角膜内皮細胞の減少といった身体的負担が全くのゼロというわけではありません。
安易に「嫌なら取り出せばいい」と考えるのではなく、あくまで最終手段として理解しておくべきです。
まとめ:正しい知識と心の準備で、納得のいく視力回復を
いかがでしたでしょうか。
「ICLをすると将来緑内障になる確率が高い」というネット上の噂は、旧型レンズ時代の古い情報であり、現在のホールICLではそのリスクは極めて低く抑えられています。
本当に恐れるべきは、手術そのものではなく、あなたが元々持っている「強度近視」という状態が引き起こす将来の眼疾患リスクです。
過度な不安に押しつぶされる前に、まずは信頼できるクリニックで適応検査を受け、ご自身の眼の正確な状態を知ることから始めてみてください。
- [ ] ホールICLによる眼圧上昇(緑内障)の確率は1%未満であると理解した。
- [ ] 自分の「強度近視」自体が緑内障リスクであることを受け入れた。
- [ ] 手術の有無に関わらず、将来にわたって眼科の定期検診に通う決意をした。
- [ ] 知恵袋などの極端なネガティブ情報は、感情的なバイアスがかかっていると認識した。
- [ ] ネット検索ばかりして不安を増幅させる「サイバー心気症」にならないよう注意する。
- [ ] 不安なことはすべて、事前のカウンセリングで専門医に直接質問する。
正しい医学的知識と、不安をコントロールする心の準備が整えば、視力回復という素晴らしい結果を手に入れることができるはずです。
ぜひ、後悔のない選択をして、快適な日常を取り戻してください。

